変形労働時間制における割増算出

労基法では、変形労働時間制が認められている。

変形労働時間とは、ざっくり説明すれば、一定期間において週平均40時間以内になるよう自由に所定労働時間を設定できるというもの。(とは言え一定の制限はある)

 

例えば、季節によって繁閑差がある企業は、繁忙期は所定労働時間を長く設定し、閑散期にその分所定労働時間を短くする。これにより、メリハリのある働き方ができ、無駄な時間外手当を払わなくて済むといったメリットがある。

ちなみに当所クライアントにおいては、ざっと約5割が何らかの変形労働時間制を導入している。

 

ただ実際は、そのような恩恵を受けるためではなく、次のどちらかの理由により導入する企業が圧倒的に多い。

①1日8日間労働の企業で、週1日しか休日を確保できない週がある ⇒ 1年変形

②夜勤など長時間労働がある ⇒ 1ヵ月変形 

 

 

変形は一見便利なように見えるが、こと割増手当の算出にいたっては、正確に理解している企業(実務担当者)は恐らくほとんどないのではないかと思うくらい複雑怪奇だ。

そのことを分かっているか否かは別として、所定労働時間を超えたら割増手当を払っている企業もそれなりにある。これであれば労基法違反にならず一番無難なのだが、余分な割増手当を払っていることになる。

 

当所作成の勤務時間入力表
当所作成の勤務時間入力表

そこで当所は、変形労働時間制でも無駄な割増手当を払わなくて済むよう、エクセルの「勤務時間入力表」に更に改良を加えてみた。

欄外に「1」を立てれば、その日は所定労働日として認識するようにしたことで、例え週40時間を超えていても時間外と認識しないようになった(^^

 

当該表は、労働時間や休憩時間を入力すれば、残業時間や残業代が瞬時に算出される。時間入力時に「:」は不要、万年カレンダー、月に応じて所定休日の色が変わる等、少しでも生産性が上がるよう工夫してある。

 

必要に応じてクライアントごとにカスタマイズして作成・提供しているのだが、例えば長時間労働になりがちな運送業などは、各労働時間の算出はもちろん、固定残業代と実際の残業代を瞬時に比較し、不足する場合は不足分を表示するようにした。このおかげで、国交省の調査や助成金申請もスムーズにできるようになったと、僭越ながら大変喜ばれている。

最近も特例措置対象事業場用のクライアントに、週法定労働時間44時間に対応するようカスタマイズしたばかりだ。

 

エクセル(関数の組み合わせ)は昔から得意で、「こんな風にできればもっと効率・生産性が上がるよな」と思えば、たいがいのことはできてしまうから面白い。(時代が違えば、恐らくプログラマーが向いていたんだろうなとよく思う)

 

 

ちょっと話が脱線したが、言いたいことは、変形労働時間制の割増手当の算出は複雑怪奇であることと、算出が困難であれば所定外は割増を払うのが無難であるということ。


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