ハイリスクなモデル就業規則

本日、所属する勉強会で(モデル)就業規則の話をさせていただきました。

今回のテーマの目的は、「いかにモデル規則がリスクの高いものかを気づいていただくこと」です。

 

最初は簡単に、就業規則の基本的事項とモデル規則の現状について。ここまでは序盤なのでなるべくサラッと。

 

次からが本番。

厚労省のモデル就業規則が、さまざまなトラブルにどう対応できるか検証してもらいました。

 

例えば、突然有休をとるトラブル社員に対しては、対応できる条文(事前の申請手続き)は残念ながら見つかりません。

 

入社間もない社員が休職を申請してきたら、残念ながらこのモデル規則では会社は休職を与えなければいけません。そもそも休職制度は義務ではありませんし…

 

トラブル社員を降格させたくてもこのモデル規則には降格規定がないので、原則降格させることができません

 

昨年の労基法改定の内容である「残業割増率150%」「代替休暇」「有休の時間付与」、このモデル規則には普通に規定されています。

150%が一部の大企業に適用されるだけで、代替休暇や時間単位有休は全く導入する義務はありません!

恐らく多くの人はそんなことは知らないため、そのまま導入してしまう恐れがあります。(削除したくてもその判断ができないでしょうし

実は代替休暇や時間単位有休は、事務がかなり煩雑になります。恐らく総務担当者はやっていられないでしょう。

 

そして最も恐ろしいのが割増率の規定

通常125%でいいところを何故かこのモデル規則は、わざわざ135%とか140%とうたってあります

ではもしこのモデル規則を導入し、実際は125%しか払っていなかったら…

その差額を最大過去2年間遡って支払わされる可能性があります!!いわゆる今はやりの「未払い残業」ってやつです。

就業規則の内容と個別契約の内容が異なる場合、労働者に有利な方が適用されてしまいます

ホント、恐ろしいです。せめてここは、厚労省は空欄にしておくべきです。

 

まだまだあります。

パート規程との関係です。パート規程にない場合はこのモデル規則の内容が適用される、とあります。

これ超ハイリスクです。例えば、このモデル規則を導入しパート規程は既存の古いものを使用、なんて場合。

整合性取れてないと正社員だけに適用されるはずの規定が、パートにまで適用されてしまいます

 

とまぁ他にもいろいろあります。(私が見る限り、全部で59規定あるうち26個の規定に問題ありです…具体的にはコチラをどうぞ)

 

参加された皆さんもかなりこのモデル規則のハイリスク度に驚かれた様子でした。なんせ厚労省の作った最新のものですからね。

 

既存の就業規則について、一度本当に中身を深~く検証してみることをお勧めします。ポイントは「経営者又はトラブル社員になった目線で」「重箱の隅をつつくように」「疑問を見つける」です。