節電対策で労働時間を変更する場合の注意点

節電対策として実施する労働時間の変更に関する相談・トラブルが増えそうです。

この度厚労省は、次のように注意、要請しています。

 

・所定労働時間の短縮や、始業・終業時間の変更などは労働基準法などに

 基づき、労使の話し合いで決定しなければならい。

・電力使用の分散化と平準化のために、変形労働時間制の導入などを実施

 する事業主も少なくないと見込まれる。

・家族的責任を有する労働者の事情にも配慮しつつ行うべきだ。

 

 

そこで今回は、労働時間の変更を実施する場合の注意点などをまとめてみました。(◎~▲は実施難易度)

 

◎サマータイム(労働時間を繰り上げる)

 就業規則に「業務の都合により、始業・終業時間を繰り上げ・繰り下げる

 場合がある」などとあれば、それに従い繰り上げることができます。

 ない場合は従業員へ事前説明し実施しましょう。同時に就業規則の変更を。

 (労働時間については必ず就業規則に記載する必要があります)

 

○短時間労働制1(1日のうち一部休業させる)

 企業側の都合で休業させるため、労基法により休業手当(平均賃金の6割)

 の支払いが必要になります。

 ちなみに1日全部休業させる場合とでは、同手当の額に差が出る場合が

 あります。事前のシミュレーションをお勧めします。

 

▲短時間労働制2(所定労働時間とその分の賃金を減らす)

 不利益変更になりますので、従業員の個別の合意か合理的な理由による就業

 規則の変更が必要です。

 従業員説明と理解を得ることは言うまでもなく、今回の例示の中では最も慎

 重にすべきものです。

 

○変形労働時間制の導入(夏場は短時間労働にし、その分秋以降に増やす)

 変形労働時間制には1年単位、1ヵ月単位、1週間単位の3つあります。

 原則、就業規則への規定と労使協定の締結・届出が必要になります。

 変形労働時間制はルールが細かく、一度設定するとその間は原則変更できま

 せん。顧問社労士等に相談されることをお勧めします。

 

 

「非常時だから」「時間がないから」などといって、法令を無視したり半ば強制的に実施するのはNGです。トラブルを招きます。

面倒でも事前に従業員へよく説明し、従業員の家族的責任にも配慮し、労基法や労働契約法などの法令に従い導入・実施する必要があります。