ISO26000の労働慣行

大手がCSR(企業の社会的責任)への取り組みを強化しています。

それに関連する国際規格が、昨年末にできた「ISO26000」。

ちょっと調べてみました。

 

・7つのテーマごとに対応すべき課題をまとめている。

 ①組織統治 ②人権 ③労働慣行 ④環境

 ⑤公正な事業慣行 ⑥消費者課題 ⑦コミュニティ参画及び開発

・ISO14001のような認証規格でなくガイダンス文書。これをヒントにして各々CSRに取り組みなさい、といった趣旨のもの。

 

更に③労働慣行についてみると…(長いので他サイトより抜粋)

 

(1)雇用と雇用関係

企業は「完全および保障された雇用およびディーセント・ワークを通じた生活水準の向上」の役割を担う。ここでいう「ディーセント・ワーク」とは「人間らしい適切な仕事」という意味で、仕事は「個人の尊厳、家族の安定、地域社会の平和、人々のための民主主義、生産的な仕事や企業育成の機会を拡大する経済成長の源」という理解に基づく。

ディーセント・ワークの具体的内容は、その「欠如」を考える方が分かりやすく、失業、不完全就業、質の低い非生産的な仕事、危険な仕事と不安定な所得、権利が認められていない仕事、男女不平等などである。

企業は、バリューチェーンを含む自らの組織の影響の範囲内で、人権デューディリジェンスを用いながら、ディーセント・ワークを確保する努力が求められている。

 

(2)労働条件及び社会的保護

労働条件には、賃金、労働時間、休憩時間、休日、出産・育児支援、福利厚生などが含まれ、企業は少なくとも国際労働基準に合致した労働慣行を求められる。ILO基準の例をいくつか見てみよう。

・労働者およびその家族のニーズを十分満たす最低賃金(固定給か出来高給かを問わない)を支払う。

・同一価値の労働に対して、男女の性別による差別なしに、全ての労働者に対して同一の賃金を支払う。

・多国籍企業は普段の労働時間を週48時間から40時間へ短縮を目指す。

社会的保護とは、業務上の負傷、病気、妊娠、老齢、失業などの原因による収入の減少や喪失を軽減し、医療や家族手当を給付する法的保護や慣行を指す。主たる責任は政府にあるが、組合管掌健康保険といった「使用者及び労働者が共同で管理する保険による保護」など企業による保護を排除するものではない。

 

(3)社会対話

社会対話とは「経済問題および社会問題など共通の利害ある事項に関する、政府、雇用主および労働者の代表者間で行われるあらゆる種類の交渉、協議または情報交換」と定義される。

社会対話の場は、厚生労働省の労働政策審議会のように政労使三者の場合もあれば、春闘や労使協議会、経営トップと労働組合との意見交換会のような労使の二者の場合、さらにはNGOなど政労使以外を交えた場合も含まれる。

また、公式・非公式を問わず、国際、国内(全国)、地域、企業単位、産業横断など様々なレベルが可能である。このように幅広い定義ではあるが、重要なのは「代表者」間の対等な対話の場を設定することである。

 

(4)労働における安全衛生

労働における安全衛生は日本企業の間で既に積極的に取り組まれており、様々なマネジメントシステムやその認証が導入されている。2001年採択の「労働安全衛生マネジメントシステム・ガイドライン(ILO-OSH 2001)」など、ILOが進める安全衛生マネジメントの要素は次の通りである。

[1]経営者は労働者およびその代表との協議に基づき書面で労働安全衛生方針を設立する、

[2]安全衛生方針には、最低でも、全関係者の安全衛生確保、関係国内法や労働協約などの遵守、労働者およびその代表の積極的関与、継続的な改善といった点を盛り込む、

[3]労働者の参加は必須であり、経営トップは労働者およびその安全衛生の代表者との協議や情報提供、訓練を行う。

 

(5)職場における人材育成及び訓練

労働者への差別のない人材育成の提供や健康促進の機会に加え、エンプロイアビリティの向上も企業の役割となっている。

エンプロイアビリティ(就業能力)とは、労働者が適切な処遇を得たり、円滑な再就職を図ったりする際の能力評価や能力開発目標の基準となる実践的な能力であり、職務遂行に必要となる特定の知識・技能などのほか、協調性、積極性など個人の思考・行動の特性、人柄や性格など個人的属性も含まれる。

企業ではエンプロイアビリティの向上を研修・教育の機会、社内公募など機会の提供を通じて実現しているが、ISO26000では「必要に応じて」という限定付で、余剰の労働者、自己の職が危機に瀕している労働者に提供するよう求めている。 

 

 

感想…長!(ここまで読まれた方、お疲れ様です…)

あと全体的にもう少し分かりやすく端的に表現して欲しい…

まぁそれはさておき、(1)から(5)までいずれも耳が痛い内容です。

分かっちゃいるけど、なかなかできてない企業がほとんどでしょう。(現にこれを取り入れているのは大手ばかり)

 

でも今後グローバル化が進む中で、このような世界的な規格・基準は無視できなくなってくるのでしょうね。


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コメント: 2
  • #1

    Mヨシ (土曜日, 27 8月 2011 17:51)

    ISO26000なんてものが出来たのですか・・・
    CSRという言葉ばかりが先行していましたが、うちの会社などCSR!CSR!という割りには全く内容が伴ってないので、こういうものが作られることにより少しでも、理想に近づくといいですね。

  • #2

    tomono (日曜日, 28 8月 2011 21:27)

    特に海外との取引がある企業は無視できないでしょうね。
    今や社会的責任の下、事業することは当然の付加価値となりつつあるような気がします。