実態に即して判断する

労務管理をする上で、大切な観点があります。

それは「実態に即して判断する」ということ。

 

先日開催したセミナーでこんな質問がありました。

「年俸制の賞与は残業代の対象となるか?」

 

年俸制における賞与の支払方法としては、12等分して毎月払う方法や、16分の4を夏冬に払う方法があります。

結論から言えば、これらは全て割増対象となります。

実は、賞与といえども「額が確定された」賞与は、割増対象としなくてよい賞与とはみなされないという行政通達があるのです。

 

例え毎年査定して賞与を決めたとしても(毎年賞与額に変動が生じたとしても)、年俸制として払えば「確定された」賞与となり、割増対象となります。

 

割増対象外として認められる賞与というのは、その都度査定して(額が確定されおらず)その都度支給するものなのです。

 

ちなみに月給制の場合であっても、賞与を「基本給の4ヵ月分」などと予め決めて支払っているケースも割増対象となります。(これはほとんど知られていない)

   

要するに何が言いたいかと言うと、実務の世界では「実態に即して判断する」ということ。

名称が「賞与」だからといって、なんでもかんでも割増対象外扱いにできるものではない、ということです。

 

 

実態で判断するケースは、他にもよく出てきます。

 

例えば割増対象外とされる「住宅手当」。

実は住宅手当が割増対象外として認められるのは、「住宅に係る費用に応じて」手当を支給する場合なんです。例えば「住宅ローン残高×係数」といった感じ。

よく見受けられる「持家だから○万円」「借家だから○万円」という払い方は、実は認められません。割増対象となるのです。

 

あと「労働者性」。

例えば「請負」として働かせているケースでも、実態に即して判断します。

「毎日会社に出勤しているか」「会社から指揮命令を受けているか」「給与はどこから支給されているか」など総合的にみて労働者性を判断します。

いくら契約が「請負契約」であっても、実態に労働者性が認められればそれは「労働契約」とみなされ「労働者」となるわけです。形式ではなく、あくまでも実態で判断するということです。

 

 

実態に即して判断する。実務では大切な観点です。


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