今年、実務に影響を及ぼす労働法改正

2022年の幕開け。

恒例の書初め
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今年、実務に大きな影響を及ぼしそうな労働法改正は、次の3つだろうか。

①パワハラ防止措置の義務化(中小企業)

②育児休業に係る雇用環境整備と個別周知・意向確認の義務化、分割取得

③厚生年金の適用拡大

 

①は、正確に言えば「労働施策総合推進法」の改正。

中小企業は、4月からパワハラに対するいくつかの措置(パワハラをしてはいけない旨の方針の明確化や相談体制の整備、パワハラが起きた場合の迅速な対応等)を講じなければならなくなる。大企業は、既に一昨年の6月に施行されている。(パワハラは規模関係ないのにね)

 

②は育児介護休業法の改正。企業は、4月から育休に係る研修や相談窓口の設置等のいずれかを実施しなければならなくなり、対象労働者へ育休制度や育児休業給付金等の周知と取得の意向確認をしなければならなくなる。また10月からは、産後パパ育休が創設され、通常の育休も2回まで分割取得可能になる。

これらの改正によって、企業は育児介護休業規程の変更を余儀なくされる。

 

③は、現在501人以上の企業では、パートも要件を満たせば社会保険に加入しなければならないのだが、それが10月から101人以上の企業に拡大される。

要件は4つあり、週の所定労働時間が20時間以上、一定の月額賃金が8.8万円以上、2ヵ月を超える雇用見込み、学生でないこと。まぁざっくり言えば、雇用保険に加入しているパートになる。(ちなみに501人とか101人という数字は、この要件を満たす人数であることに注意)

 

 

このうち、特にインパクト大なのが③。

当所クライアント先も対象になるところがいくつかあり、パートへアナウンスするタイミングや方法を気にし始めている。

懸念されるのが対象者の動向。対象者の多くは個人負担が増えるだろうから、労働時間や賃金の調整を希望する人や100人以下の企業への転職を考える人も出てくるかもしれない。(ちなみに再来年10月からは51人以上の企業に拡大される)

企業も然り。労働力が減ったり、人件費が増えることが懸念される。ただでさえ原材料費や最賃が上がっている中で、どうやりくりするのか頭を抱える。

 

未だコロナの収束が見えない中、企業にとっては、コンプライアンスと人件費の負担が一層求められ、厳しい年になりそうだ。


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