働かないアリに意義がある

本の紹介。

働くアリと働かないアリの比率は8:2になるという話は昔から聞く。一方、人の組織には2:6:2という法則がある。

この両者に生物学上、何か共通点があるのか興味をもって読んでみた。

 

 

アリには「反応閾値(イキチ)」という「仕事に対する腰の軽さ・重さの個体差」がある。

働かないアリは、実は全く働かないというわけではなく、いざという場合に備える「腰の重いアリ」のことだった。

この個性によって、働きアリというワーカーが適材適所に(自然に)配置され、コロニーが全滅になることを防いでいるのだ。

 

 

我々の世界においては、多くの中小企業は余剰人員がいないため、能力の高い社員が単純な仕事をしていたり、管理職がいつまでもプレイングマネージャーだったりすることもよくある。適材適所は、頭では分かっていても難しい。

アリの目にはさぞ不思議に映ることだろう。

 

 

行列を乱さない真面目なアリよりも、たまに人と違う行動をとるアリの方がエサを短時間で見つけることもあるというくだりは面白い。

人間の世界でも新しいアイデアを生む人は、頭の柔らかい異端児だったりする。

 

 

同書は全般に、アリやハチなど真社会性生物の行動特性について書かれている。

「利他行動」という、進化論では説明しにくい不思議な行動は、未だ解明されていないことも多いという。

他人のために働くアリがいれば、過労死したり裏切ったりするアリもいる。個と社会の関係・バランスがギリギリのところで保たれ、コロニーが存続している。小さな昆虫の世界に、まるで人間界と同じようなドラマが起きている。

生物の不思議さ・面白さに、感慨深げになる一冊だ。


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