電子申請の行方

僕は、社会保険の手続きについては、正直あまり興味がない。

クライアントから委託されればしょうがないので(笑)やっている。もちろん、やるからには責任をもって、迅速かつ正確にやることに努めている。

 

そんな手続きだが、多くを電子申請に頼っている。確かに便利なのだが、改良の余地を感じるところも多々ある。

 

手続きの途中に、なぜかわざわざ一旦保存しなくてはならなかったり、書類の添付処理が1つの画面でできなかったり、画面を行ったり来たりしたりと、無駄だと思う作業が多い。

画面も見やすいとはお世辞にも言えない。ゴチャゴチャどうでもよいボタンが多過ぎる。

 

社会保険(健康保険・厚生年金)にいたっては、決定通知書がPDFで来ないのは不便極まりない。だから紙ベースで決定通知書を送ってもらっているのだが、PDFにすれば年金機構もかなりのコスト削減になるだろうに。(雇用保険関係はPDFで来るから非常に助かる。そのままクライアントにメールするだけで済む)

 

算定や月変、賞与など、一旦CSVデータを作成しなくてはならない手続きがあるが、ホント勘弁してほしい。なんなんだアレは。超面倒くさくて、これだと手書きの方が早かったりする。

 

昨年12月から労働基準監督署へ電子申請できる届出が拡張されたことに伴い、早速36協定の届出をやってみたのだが、こちらは困ったことに受理データが全く返ってこない。受理通知はあっても、届出したという証拠データが手元に何ら残らないのだ。(以前も就業規則の届出を電子申請で試みたが、そのときも確か同様だった)

だから全く使えない(笑)以前、労基署の担当者に提言したが、ピンときていないようだった。

 

このような行政窓口による取扱いの差が、利用者にとって分かりづらいものにしている面は否めない。

全ての手続きが、電子申請対応になっていないのも中途半端な印象だ。特に傷病手当金と労災関係の電子申請化を望む。

 

とまあ、いろいろ苦言はあるにせよ(←パブリックコメントした方がよいかも)、総合的に判断すれば電子申請の利便性の良さに軍配が上がる。今さら手書きには戻れない、というのが本音だ。

 

 

そんな電子申請について、つい先日、日経にこんな記載が。

 

『税・年金 一括電子申請へ 規制改革会議が了承

政府の規制改革推進会議は、年金などの社会保険や税をオンラインで一括申請できるようにする方針を示し、了承を得た。2020年をめどに新システムを立ち上げる。電子署名を原則として省略し、新しいIDとパスワードで簡単に申請できる。企業名や従業員の給与額などは1回入力すればすべての申請に使えるようにして利便性を上げる。

これまで多くの企業は税・社会保険の申請で税務署や地方自治体、年金事務所などに書類やCD―ROMを直接持ち込んでいた。電子申請を普及させることで業務の負担を減らし企業の生産性を引き上げる。』

 

働き方改革やら生産性の向上が叫ばれる中、この動きは当然だろう。税や社会保険の主な項目の電子申請の割合は、2016年度で13%にとどまっているというから、遅いくらいだ。

 

 

今後の電子申請の行方として、普及はそれなりに進んでいくのだろうが、やはり前述したような使い勝手の悪さを改善していくことがカギになるだろう。そうしないと、結局「手書きの方が早い」ということになりかねない。

僕は仕事柄、ほぼ毎日電子申請を行っているから、その手順も「場数」で覚えられるが、稀にしか手続きが発生しない中小企業だとそうはいかない。社会保険の手続きの種類もかなりあるしね。(現在普及率が伸び悩んでいる理由として、電子署名の取得が有料であることに加えて、使い勝手の悪さもあると思う)

 

そのような改善がなされていけば、電子申請はもっと普及していくと思う。そしてそれに伴い、我々の「仕事の境界線」がぼやけ、なくなっていくのは必至なんだろう。


前のブログ  次のブログ

     

人材の採用・定着コンサルティング

トモノ社労士事務所

静岡市駿河区敷地2‐9‐5‐405

☎054-237‐6811