代償

厚労省の毎月勤労統計調査のずさん問題。

開いた口が塞がらない。

またも厚労省、思わず「消えた年金問題」が頭をよぎった。

役人が、調査を意図的に操作したとの報道もある。景気回復(賃金上昇)を連呼する安倍政権へのまたもや忖度か?

 

 

当該調査結果は、いろいろなところで利用されている。

例えば基本手当(失業保険)や育児休業給付、高年齢雇用継続給付、労災各種給付など。これら給付額には上限・下限があり、毎年見直しが図られるが、この見直しに当該調査が利用されている。

今後調査のやり直しにより、これらの上限・下限が底上げされる可能性が大で、その結果、追加給付の対象となる人が出てくるといった理屈だ。当然、対象とならない人もいる。

対象者には、案内文を郵送するらしいが、住所変更や氏名変更している人もいるだろう。どうするのかね?

 

 

追加給付に係る専用相談窓口が設置されたというので、早速電話してみたのだが、いかにも「ぼ、僕、アルバイトなんです…」みたいな人が出た。(実際そんなことは言ってない)

何を聞いても具体的な回答は得られず、挙句の果てに「お近くのハローワークへ電話して下さい」だって。まぁ予想はしていたので特に驚かず。

 

助成金への影響も気になったので、労働局へ確認してみたら、政府が発表している雇用調整助成金のほかに、今のところ2~3対象となる助成金があるという。ただどれも古い助成金だ。

今まで、当該調査が助成金に影響を及ぼしているとは知らなかったので、そのあたりも聞いたら、賃金助成などを算出する際に利用しているそうだ。

ちなみに現行の人材開発支援助成金の賃金助成は、当該調査とは無関係らしく、何ら追加給付の対象にならないとのこと。

 

 

追加給付の対象者は約2000万人、金額は約500億円にのぼるという。

凄い人数・金額なのは確かだが、これは本来必要なもの(本来支給されるべき人・金額)だからまだよしとして、追加給付に係る時間や労力、コストがアホらしい。

対応にあたる人の人件費、郵送コスト、システム構築に係るコスト…どれも我々の税金が充てられるわけだ。

 

昨今の裁量労働制に係る労働時間や障がい者雇用率など、厚労省に対する信頼が失墜していた矢先のこれだ。

この代償は相当大きい。


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