経営相談

先日、静岡商工会議所主催の経営相談会に相談員として参加した。

これは、新型コロナの影響による融資や雇用調整助成金について、中小企業に対する相談会。急遽開催が決定した。

ちなみに5年ほど前から、同会議所の労働専門指導員をさせてもらっている。

 

うち1件は切実な悩みだった。

詳細は控えるが、概要はこんなところ。

①4月の新卒内定者の扱いをどうしたものか

②雇用調整助成金の生産指標はどうにかならないか

 

①については、現在、内定取り消しや解雇、雇止めが少しずつ顕在化しているが、その内定が「始期付解約権留保付労働契約」と判断できるのであれば、内定取り消しは(整理)解雇の問題となり、すなわち4つの要素(必要性・人選・解雇回避・手続き)からその有効性を判断することになる。

 

内定取り消しはしないが、採用日を後にずらす場合は「労働条件の不利益変更」の問題となり、原則本人の同意が必要になる。(ただ今のこの状況で、次回の採用日を確定するのは難しいという問題が残る)

 

採用するも休業させる場合は、「休業手当」「危険負担」の問題になる。

内容を聴く限り、同手当の支払いが必要だろうと説明した。確かにコロナによる休業は不可抗力とも言えるが、反面、休業回避のための経営努力がまだ十分ではないと判断(休業手当の範囲は予想以上に広い)。

ただ、休業手当を払えば、新卒も今回の特例で助成金の対象になる旨伝えた。

 

 

その流れで②の相談へ。

相談者の会社は昨年12月半ばに開業したばかりだが、今回の特例で助成金の対象になる。ただ新設法人は、昨年12月の生産指標(売上等)と比較し10%以上下がっている必要があるため、今回の相談者はどうしても不利になり(12月の売上は通常の半分)、助成金が活用しにくいという。

但しこれはもう決まっている要件なので、どうしようもない。無理くり業績を落とし助成金活用を目指すか、あきらめるしかない。

ただ助成金も大切だが、企業存続が危ぶまれるようでは、それ以前の話になる。営業時間・売上・社員シフト・賃金・経費…それらを慎重にシミュレーションし数字で可視化し、どのような方策がよいか総合的に判断するようアドバイスした。

 

 

相談会は、思ったほど雇用調整助成金の相談に来た企業は少なかった。

前述の相談者もそうだが、そもそも休業させ休業手当を払う必要があるわけで、多少なりとも余裕・体力がある企業でないと使えない。そういった意味では、意外と使えない。

 

小学校休業等対応助成金も然り。そもそも子をもつ親は、それを前提に普段から働きに出ているわけで、使える人は結構限られてくる。

当所のクライアントについては、全て聞き取りを済ませているが、やはり今のところ両助成金について活用したいというところは非常に少ない。

 

 

内定取消しと休業手当は慎重な判断・対応が求められ、助成金は決して活用しやすいとは言えない。総じて中小企業にとっては厳しい。


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