経営者が経営理念を周知できない本当の理由

先日、あるところから紹介を受け、経営理念についてのリモート相談を受けた。

相談者である経営者から、「経営理念は頭の中にはそれなりにできてはいるが、それをどのように具体化すればよいか?」とのこと。

色々掘り下げて質問していくと、「理念を一度作って社員へ周知してしまうと、後で簡単に変更できない」という心の奥底の声が聞こえてきた。

実は、これは「経営者あるある」で、経営者のメッセージは絶対的であるが故に、社員へ周知することに臆病になってしまう。

「言ったはいいが、そもそも自分ができるか自信がない」「後から簡単に変更できない」「やすやすと変更すれば「朝令暮改」と言われかねない」等、そんなプレッシャーがのしかかるのだ。

このあるあるは、何も経営理念に限らない。

 

そんな悩める相談者へ、次の2点についてアドバイスした。

①理念は「これだっ!」と腹に落ちるまで、時間をかけてじっくり考えることが大切。その際、思うがままに書き出してみる(可視化する)。

②「経営理念+行動指針」の2層構造とする。行動指針は社員に考えてもらい(自分ごとにさせ、巻き込む)、年1回は見直し、必要に応じて変更、ブラッシュアップする。こうすれば、理念までは変えられなくても、行動指針は都度変えられる。

 

 

実はかくゆう僕も起業当時、理念やミッション、或いは事務所名について、(何となく頭にはあったが)具体的にどのような表現にするかかなり悩んだ。

そこで可視化したり、慌てて決めることをせず何日もじっくり考えを巡らせてみた。そのおかげで一周回って元の表現に戻ってきたのだが、この過程があったから「やっぱこれでいいんだ!これでいくぞ!」と腹に落ちたことをよく覚えている。

 

今回の相談者へのアドバイスは、いわば自身の経験によるところが大きかったわけだが、相談者はかなり納得された様子だった。

経営者が経営理念を作ったり、社員へ周知するのが難しい本当の理由は、実は心理的なものなのだ。それには熟考と覚悟が必要だ。


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