給付制限廃止で解雇規制議論遠のく?

失業保険の給付制限をなくそうという議論が始まっている。

現在、自己都合退職した離職者が失業保険(正確には基本手当)を受給するには、ハローワークへ手続きに行き、7日間の待期とその後2ヵ月間の給付制限が経過するまで待たなくてはならない。

 

この2ヵ月間の給付制限をなくそうという議論が国で始まった。

理由は、転職を促し雇用流動化を図るためだ。雇用流動化を図り、成長産業や適材適所で人材を活かし、労働力がどんどん減っていく中でも何とか生産性を上げて経済を立て直そうという目論見がある。

 

では、もし給付制限がなくなるとどうなるか?

 

国の目論見通り、自己都合退職者は増えるだろう。失業保険目的で、短期で転職を繰り返す輩も増えるだろう。転職希望者は、コロナ禍においてもずっと増え続けている。

そうなると、選ばれる会社と選ばれない会社の格差がますます広がるのだろう。

 

現在、会社が普通解雇や退職勧奨した場合は、離職者は特定受給資格者となり給付制限がなくなる。

もし給付制限がなくなれば、そこは自己都合も解雇も同じということになり(ケースによっては給付日数は異なる)、解雇したい社員を自己都合退職してもらうための交渉の材料に使う会社が出てきそうだ。なぜなら、解雇すると(重責解雇除く)会社は一定期間、助成金を受給できなくなるからだ。

 

そんなしょーもない理由で?と思うかもしれないが、実際助成金を気にして解雇を躊躇するケースは多い。

社員は給付制限がなくなり、会社は助成金に影響が出ない、となれば両者の利害関係が一致する。(但し厳密に言えば、退職勧奨にあたれば助成金に影響するから要注意)

 

 

雇用流動化の促進において、日本の厳しすぎる解雇規制の議論が最近では全く聞かなくなったけれど、給付制限廃止で転職が促進されれば、その議論は更に遠のく気がする。それでいいのか…?


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