車両人身事故の企業責任

先日、千葉県で起きた児童5人が死傷した痛ましい車両人身事故。

容疑者のトラックドライバーは、仕事で会社に帰る途中に酒を購入し、車内で飲酒し、そのまま飲酒運転をしたという。

そんな愚行と引き換えに、幼い尊い命が犠牲になった。怒りしかない。

 

 

僕は以前から、普段のクライアントへのアドバイスの中で、よく車両の人身事故に係る企業責任とその対策について話をしている。本当によくしている。

企業責任とは、具体的には使用者責任と運行供用者責任(人身事故の場合)だ。

前者は、被害者保護の観点からその責任範囲は広く解釈されるし、後者は、加害者自ら無過失を立証しなければならない。

 

社員が、例え通勤中に人身事故を起こした場合であっても、場合によっては企業に責任が及ぶことがある。

例えば、社員にマイカーを業務で使用させていた場合だ。加えて、マイカー通勤を積極的に認めていればいるほど、そのリスクは高まる。

(自転車も恐らく同じようなことが言えると思う。そのため、自転車についてもよくクライアントへアドバイスする)

 

このような話は、誰も今まで聞いたことがないから皆驚く。

「社員が勝手にやったことだから知らん」とか「通勤中だからウチには関係ない」と言えないケースがあるということ。損害賠償額も多額に及ぶこともあるため、企業として無知は罪。

 

 

今回の痛ましい事故は、果たしてどうなるのだろう。

飲酒運転だからまず保険は下りないだろうから、被害者や遺族は、(支払い能力がある)会社を訴えることは十分考えられる。

いくら本人の愚行と言えども、業務中の行為だから企業に責任が及ぶ可能性は高いのではないか。会社が普段この容疑者にどのような指導をしていたのかが、企業責任や裁判にどう影響するのだろうか。

 

企業は、飲酒運転NGは当然だとしても、車両人身事故の企業責任という観点や知識は乏しい。しかし、地方ではマイカー通勤は当たり前だし、中小企業はマイカーを業務利用させていることも珍しくない。

実は、多くの企業は車両人身事故による企業責任と常に隣り合わせなのだ。


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