タレント騒動にみる企業のセクハラ措置義務

タレントのセクハラ案件。

世間は週刊誌やSNSが発する不確実な情報や憶測によって、テレビ局のガバナンスやらCM辞退やらの話に右往左往しているようだが、正直そんなコトには興味がないので(それに関わる時間は無駄しかないので)、ここでは労働法目線でこの件を見てみよう。

 

男女雇用機会均等法においてセクハラは次のように定義されている。

「職場におけるセクシュアルハラスメントとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件につき不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されること」

 

職場とは、労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については職場に含まれる。だから、取引先の事務所や取引先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅等も職場になり得る。

また、事業主や上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における生徒等もセクハラの行為者になり得る。

 

今回の件はタレントの自宅で起こったようだが、完全にプライベートの案件であれば別だが、もし仕事の延長であるならば職場に該当する可能性がある。

またタレントと言ってもテレビ局からすれば取引先のようなものなので、上記法の行為者となり得るだろう(行為者の範囲は広いと考えられる)。

 

被害者の方が、被害にあった後に会社のセクハラ相談窓口に相談したかどうか気になるが、少なくとも上司には相談しているようなので、(明らかにプレイベートでなければ)社内相談窓口を紹介したり、相談窓口へつないであげるのが筋。

また一連の話を聴く限り、テレビ局はこの件を知った後に迅速適切な対応をしておらず、本来だったら使用者責任の問題にも発展していたかもしれない。

 

 

企業や経営者は、今回の件を対岸の火事で面白がる前に、「もしウチで同じようなことが起こったら?」と自問自答してみることが大切。企業にはセクハラ措置義務がある。


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