◆人材マネジメント

Vol.30 外国人労働者の採用イロハ② 社会保険

 

外国人労働者であっても、社会保険の加入要件は日本人と全く同じです。

例え短期滞在であっても、本人が拒んでも、特別扱いは認められません。

 

簡単に各社保加入要件のおさらいです。 

・労働保険 全労働者が加入(例え不法滞在であっても加入対象になる)

・雇用保険 31日以上雇用される見込みで、かつ週20時間以上働く場合 

      但し、昼間学生しているという人は適用されない。

・健康保険、介護保険、厚生年金 

      月の出勤日数と週の労働時間の両方が、その職場における通常の労働者(一

般的に正社員)のそれぞれ4分の3以上(月20日出勤、週40時間労働の

会社の場合は、月15日以上の出勤かつ週30時間以上働く人)

 

会社として、まずは対象となる外国人労働者に、社会保険の概要と加入要件を説明する必

要があります。 

 

会社の社保に加入しなくても国保・国年に加入する必要がある

外国人労働者のうち資格外活動許可などアルバイトとして働く場合は、週28時間までし 

か働けませんので、そのような場合は、会社の社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金)

に加入しない、というケースは多いでしょう。

但しそのようなケースであっても、国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。

通常、国保と国年については、本人が市区役所等に出向いて加入や脱退の手続きを行いま

す。

但し多くの外国人労働者は、手続きはおろか、社会保険の内容をほとんど理解していませ

ん。

ですので、可能な限り会社の総務担当者など、誰か一緒に同行して手続きを援助してあげ

ることが大切です。(行政もそのように会社に依頼してくると思います)

 

半年加入すれば年金は掛け捨てにならない

外国人労働者の社保加入に関してよく聞く話が「保険料が掛け捨てになるともったいない

から、加入したくない(加入させたくない)」というものです。

これについては、国民年金に6ヵ月以上加入、又は厚生年金に6ヵ月以上加入にしていれ

ば「脱退一時金」を請求できる可能性があります。

 

脱退一時金の要件 

①日本国籍を有していないこと

②国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間の月数と保険料4分の1免除期間

の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月

数、及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数とを合算した月数、

又は厚生年金保険の被保険者期間の月数が6ヵ月以上あること

③日本に住所を有していないこと

④年金(障害手当金を含む)を受ける権利を有したことがないこと

 

脱退一時金の額(目安)

・国民年金

6ヵ月以上…約 4~4.5万円

1年以上 …約 7~9万円

1年半以上…約11~14万円

2年以上 …約14~18万円

2年半以上…約18~23万円

3年以上 …約21~28万円

・厚生年金 

年収×約8%×加入年数(上限3年)

 ※例えば年収300万円の人が3年間勤めたら、300万円×8%×3年≒72万円

 

★詳しくはコチラ→外国籍の人が自国へ帰国し、脱退一時金を受給するときの手続き

 

社会保障協定を締結している国は通算される

日本と社会保障協定を締結している次の各国は、老齢年金の要件である年金加入期間を計 

算するとき、「日本での年金加入期間」と「本国での年金加入期間」が通算されます。

ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オ

ランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インドなど

 

但し前述の脱退一時金を受け取ると、その期間を通算することができなくなるため注意が 

必要です。

ですので、社会保障協定を締結していない国の労働者は、母国へ帰国後、脱退一時金を請

求するケースが多いのです。

 

 

まとめです。 

・外国人労働者であっても、社会保険の加入要件は日本人と全く同じ。

・外国人労働者を採用する際、社会保険や税金の概要、そして手取り(給料から約○○%

が控除されて支給される旨)について説明しておく。

・採用時、一定の要件を満たせば脱退一時金が請求でき、決して掛け捨てにならない旨説

明しておく。

・採用時、社会保障協定により、年金の加入期間が通算されるか否かを説明しておく。


Vol.29 家族主義・アナログ主義のいい会社~たこ満視察報告

 

先日、「たこ満」さんへ企業視察をしてきました。今回はそのときの報告をしたいと思い

ます。

同社は菊川市に本社を構える、和洋菓子の製造販売会社です。本県西部中心に約20店舗

を運営し、女性中心に約350名の社員がいます。

同社は今年、カンブリア宮殿でも紹介されたくらい、社員満足度が高く業績も伸びている、

まさに「いい会社」です。

 

業務日誌とデイリーニュース

日々の各店舗・社員とのやりとりや情報伝達は「業務日誌」を通じて行っている。

業務日誌には何を書いてもOKで、相談役(前社長夫人)が毎日目を通し、必ず全てに返事

を書いている。

更に、業務日誌の内容からいくつかピックアップし、「デイリーニュース」という手書き

の情報紙を作成し、各店舗・社員へ情報発信している。

これらにより、会社と社員、店舗間の情報共有とコミュニケーションを可能としている。

更に、現場の声に耳を傾けることで、ビジネスにも役立てている。

 

経営計画書

同社は、各社員にA4ノートサイズの「経営計画書」を手渡している。各社員は、その経営

計画書に自身の目標や進捗状況などを記載する。

1ヵ月ごとに、上司は部下に、社長は全社員にコメントを返している。

このような工夫が、人材育成や経営理念の浸透に役立っている。

 

たこ満心得

同社には「たこ満心得」という、行動指針のようなものがある。

挨拶や身だしなみから原価意識まで、たこ満社員として心得てほしいものを40種類ほど

掲げている。

企業は「道徳と経済」が大切である、という考えが根本にある。

 

ありがとうカード

いわゆる「サンクスカード」。

カードは複写式になっていて、メッセージを書いたカードは相手に渡し、その控えは自分

の経営計画書に添付していく。毎年、たくさんカードを送った人を表彰している。

相談役が「なぜ他の会社が『サンクスカードがなかなか浸透しない』と言うのか分からな

い」と言うくらい、同社では社員がお互いにカードを送ることが自然になっている。

「最初はリーダー1人でもメッセージを書き続けること」が、サンクスカードを継続させ

るコツだそうだ。

 

社員研修

同社は毎年、合宿を含めた3ヵ月の新人社員研修を実施している。

指導者は入社2~3年目の先輩が交代で受け持つのだが、「前任者よりもうまく指導した

い」という気持ちが、指導者のレベルを上げていく。

GWの合宿最終日は、お互い泣いて抱き合うくらい信頼関係が築かれる。更に6月の成果

発表では、新入社員の両親の手紙を読み上げるというサプライズも実施している。

 

 

【所 感】

これだけ多くの社員と店舗を抱えると、情報共有やコミュニケーションが疎かになりがち

ですが、同社ではそうならないためにも、手書きの業務日誌やデイリーニュースがうまく

機能しています。そのご苦労は大変だと思います。

更に現場の声に耳を傾け、いいアイデアは積極的に取り入れるという、ビジネスとしての

情報源としも活用していて、業績のみならず社員のモチベーションにもつながっているの

でしょう。

経営計画書を通じて、350人もの社員一人ひとりの目標に気を配り支援している姿勢に

は感銘を受けました。なかなかできることではありません。このように、社員一人ひとり

に目をかける(十把一絡げでなく個々に違う目標設定・設定をする)ことは、これからの

人材育成に必要な着眼点です。

ありがとうカードでお互いが自然に感謝の気持ちを伝えたり、新人研修で先輩社員が親身

になって指導教育をする様は、同社の良好な人間関係を如実に現しています。特に女性が

多い職場では、このような姿勢・取組みは参考になります。

たこ満心得はいわば行動指針ですが、その背景には、社員に対する“親心からのしつけ”

のようなものがあるのでしょう。

総じて、家族主義的・アナログ主義的な考え方・手法が、たこ満を「いい会社」にしてき

た要因だと感じました。(ちなみに相談役は、「いい会社」にするのに10年かかったと

仰っていました)

 

 

まとめです。

・現場の声を吸い上げ、コミュニケーションやビジネスに活かすための仕組みができない

 か考えてみる。

・社員一人ひとりについて目を配り、目標設定したり会社の支援が何かできないか考えて

みる。

・社員を家族の一員にように思い、接してみる。


Vol.28 外国人労働者の採用イロハ① 在留資格

 

最近、外国人労働者についてのご相談が、少しずつですが増えてきました。

今後、人材不足の解決策の1つとして、外国人労働者の活用は増えていくものと予想され

ます。

そこで、今回から「外国人労働者の採用イロハ」と題して、外国人労働者を採用する場合

の基本やポイント、注意点を何回かに分けてお伝えします。

 

必ず最初に在留資格を確認する

外国人を雇う場合は、まず「在留資格」を確認することから始まります。

在留資格とは、外国人が日本で滞在したり仕事したりすることについて、法的に認められ

た資格のことです。30種類近くあり、在留資格によって滞在期限や就労可能な仕事が異な

るため、注意が必要です。

実際は「在留カード」というカードに記されています。

必ず面接等で最初にこの在留カードを見せてもらい、次のことを確認することが重要です。

①自社の仕事に従事できるのか 

②何時間働けるのか 

③いつまで日本に滞在できるのか など

採用する場合は、カードの写しを取っておきましょう。

 

在留資格一覧表(入国管理局サイト)

 

就労が許されない在留資格

留学」「家族滞在(在留外国人が扶養する配偶者・子)」「短期滞在(主に観光)」な

どの在留資格は、就労が許されていません。在留カードには「就労不可」と記載されてい

ます。

しかし「留学」「家族滞在」は、予め入管局から「資格外活動の許可」が認められている場

合は、28時間までアルバイトでの就労が可能です。(カード裏面にその旨記載されてい

る)

最近、よくコンビニやスーパーで外国人がレジをしている姿を見ますが、この「留学」

「家族滞在」などの在留資格が考えられます。

ちなみに、いくらアルバイトであっても麻雀店やスナックなど風俗業には就労できません。

また、28時間は残業時間も含めての時間です。これらに違反すると、不法就労になるため

注意が必要です。

 

就労が一定範囲に限定される在留資格

技術・人文知識・国際業務」「技能」などの在留資格は、与えられた範囲内で就労が認

められます。

在留カードには「在留資格に基づく就労活動のみ可」と記載されています。

例えば、通訳や翻訳、語学指導の仕事に就くときは、「技術・人文知識・国際業務」の在

留資格が必要になります。ちなみに、原則3年以上の実務経験が必要ですが、大卒者であ

れば実務経験は不要です。

在留資格で許可された業務以外の業務に従事させると資格外活動となり、不法就労になる

ため注意が必要です。

 

就労に制限がない在留資格

永住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」「定住者(日系三世など)」の4つの

在留資格は、就労の制限がありません。日本人と全く同様、どんな仕事にも就けるし何時

間就労しても構いません(とは言え、当然に労基法の適用は受ける)。在留カードには

「就労制限なし」と記載されています。

(先日、話を聴きに行ったのですが)現在、静岡県では、この定住者を正社員として活用

しようとする企業への支援事業を本格的に開始したところです。静岡県は定住者が28,000

人いて全国で2番目に多いそうです。実際に県内大手系列のある運送会社では、ドライバー

の高齢化・人手不足対策として、ここ3年で6名の定住者(2030代のブラジル人男性)

を正社員として採用し、成果を上げています。

 

 

余談ですが、先日クライアント先で、ワーキングホリデーで来訪しているという韓国籍の

男性の面接に同席しました。その時、ワーキングホリデーは「特定活動」という在留資格

に該当し、原則、就労時間に制限がないということを初めて知りました。

このように、在留資格にはさまざまな種類・就労制限があります。移民を受け入れない実

に日本らしい鎖国的な制度と言えますが、今後はこの分野の知識習得が必須と感じました。

 

 

まとめです。

・外国人労働者を採用する場合は、まずは在留カードを確認する。

・在留資格により、就労可能か否かや就労可能な職業が決まっている。

・留学や家族滞在の在留資格で資格外活動が認められていれば、週28時間までのアルバイ

 トであれば原則就労可能。

・就労制限のない在留資格であれば、日本人同様に自由に就労できる。今後、人材不足対

 策として、本県に多い定住者を正社員などで活用することも考えられる。


Vol.27 家族経営主義を徹底する会社~感動創庫LFC視察報告

 

先日、岐阜県にあるアパレル物流企業、LFC株式会社さんへ企業視察に行ってきました。

同社は「大家族経営主義」「ユニーク朝礼」「ダイバーシティ」「改善提案制度」など、

そのさまざまな経営手法により、従業員満足度が高く、かつ業績も伸びているという、ま

さに理想的な会社です。

2年前に「日本でいちばん大切にしたい会社大賞(実行委員長賞)」を受賞するなどし、

さまざまなメディアにも取り上げられています。

今回は、そのときの視察報告をしたいと思います。

  

・サンクスカード 

相手のよいところを見つけた時はもちろん、誕生日の人に対しても、お互いに感謝の言葉 

を書いたカードを送っている。「経営方針書」という毎年社員へ配布する手帳には、予め

誕生日に社員の名前が印刷されている。更に、多くカードを送った人を表彰したり、印象

に残ったカードを壁一面に掲示している。

カードは、同社の家族経営主義である「周囲の人を自分の家族のように、いつも愛をもっ

て優しく接し、見ていて、気づいてあげる」を実現するためにうまく機能している。

  

・整理整頓

職場は、いたるところで徹底的に整理整頓されている。

例えば、カッターやセロテープなど備品1つとっても全てに「定位置」が決められ、備品

を持ち出す人は引き換えに自分の写真入りネームプレートを置いておく仕組みになってい

る。 

個人の机の引き出しの中も同様に備品の定位置があり、個人が備品を過剰に保有すること

がないようになっている。無駄なコストの削減にも大いにつながっている。

 

・改善提案制度

特に女性が多いこともあって、女性が仕事しやすくなるよう、いたるところで改善工夫さ

れている。年度末には改善提案のプレゼン大会もある。

自分たちの提案やアイデアで職場を改善できること、またそれを受け入れる風土は、モチ

ベーションと生産性の向上に大いにつながっている。

 

・ダイバーシティ

女性・シニア・障害者を積極的に雇用している。留学生もいる。

定年制はなく、いつまでも安心して働ける。また障害者雇用は「インターンシップで適性

を確認してから採用する」「障害者だけ孤立した職場を作らない」「自分の手で稼いで生

活していけるよう支援する」という方針を徹底している。

障害者も健常者も一緒になって、普通に働いている姿が印象的だった。

 

・ユニーク朝礼

毎朝、朝礼と掃除に40分あてている。

朝礼では会社独自の「ダンス」がある。暗示効果があるようで、これによって明るい気持

ちで1日のスタートがきれるそうだ。

更に月1回は選抜された社員で大掃除をしている。掃除を徹底することで、細部への気づ

きが得られ仕事に生きるとのこと。

 

 

【所 感】

とにかく、理念追求のための仕組みや教育が徹底されている・何ら中途半端にやっていな

い、というのが一番の感想でした。

前述の整理整頓や改善提案、サンクスカード、朝礼、掃除、ダイバーシティなどもそうで

すが、社員の挨拶も然り。仕事中でも手や足を止め、座っている人は立ち上がり、歩いて

いる人は立ち止まり、しっかりこちらを向いて挨拶します。これほどまでの挨拶は初めて

の経験でした。(と同時に普段できていない自分が恥ずかしかった…)

 

先代の社長は、上場をめざすべく経営をしていたそうですが、ある時赤字に陥り、それを 

機に「社員を幸せにする」「家族主義」経営に転じたそうです。

僭越ながら、従業員満足度が高く、かつ業績も伸びている会社の共通点として「過去に大

きな転機(失敗)があった」「経営者自身が変わることを決断した」「理念達成のための

仕組みがあり、徹底している」ということは、言えるような気がします。

 

※ちなみに見学は終始、社長自ら説明・案内していただきました。同社では随時見学を募 

集しているそうで、是非お知り合いの方にも伝えて下さい、とのことでした。興味のあ

る方は是非どうぞ^^

 

 

まとめです。 

・経営理念を達成するために、我が社でできる仕組みや教育は何かないか考えてみる

・社員のモチベーションと生産性の向上のために、現場の声に耳を傾け取り入れてみる

・自分の家族のように社員一人ひとりに目を向け、感謝の気持ちを伝えてみる


Vol.26 人を動かす経営理念・行動指針

 

みなさんの会社には、経営理念や行動指針ってありますか?

ミッションやコアヴァリュー、クレド…その呼び方はいろいろだと思いますが、今回は、そんな理念や指針について取り上げます。

 

私は仕事柄、たくさんの経営理念や行動指針を見てきました。

今では、会社のHPやパンフレットに記載されていることは珍しくありません。中には、立派な額縁で壁に掲げていたり、手帳に記載し配布している会社もあります。

 

ただ残念ながら、理念や指針が社内に周知徹底され、経営陣や社員が実際に意識して行動できているかとなると、また話は違ってきます。

往々にして「絵に描いた餅」状態になっていることが多いように見受けられます。

 

ではそうならないためには、どうすればよいのでしょうか。

 

それには、次の3つが重要です。 

①それを見れば、会社が目指すべき姿や方向性、社員がすべきことが、誰でもすぐに理解・判断できること 

② “心に焼きつく”表現にすること

③経営陣を筆頭に、常に周知徹底し意識して行動すること

 

 

①ですが、有名なのが東京ディズニーランドの4つの行動基準です。 

Safety(安全)→Courtesy(礼儀正しさ)→Show(ショー)→Efficiency(効率)

 

秀逸なのは、これらに優先順位を設けたことです。これによって、スタッフは何を優先して行動すればよいか、自ら判断できます。

逆に優先順位をつけずに、ただ4つの単語を並べただけでは、まるで印象が違ってくると思います。

 

 

②ですが、心に焼き付く表現とは「印象に残り忘れない表現」ということです。 

当所のクライアントで、「介護をしない介護」を合言葉に、徹底している介護施設があります。

この理念は、1度聞いたら忘れません。非常にインパクトがあり、聞き手の想像力を刺激します。

 

では、これはどうですか? 

・私たちは顧客の満足を第一に考えます。

・私たちは社員が夢を持って働ける職場環境を考えます。

・私たちは常に社会性を重んじ、社会への貢献を考えます。…

 

誰もが一度はどこかで見聞きしたことがあるような、実に差しさわりのない、無難で抽象 的な表現ですよね。

でも、全くといっていいほど心に残りません。これを見て、具体的な行動をイメージすることも困難です。 

更に、あれもこれもと、つい多くしがちです。あればあるだけ、ボケてしまうだけです。

つい忘れがちですが、“心に焼きつく”表現は、非常に大切な要素なのです。

 

 

③ですが、これは最も難しいことかもしれません。 

まず経営者や経営陣が、本気で周知徹底する覚悟が必要です。その上で、例えばこんな方法があります。

・全社員がいる前で、経営者自ら語り、決意表明する

・部下にアドバイスや注意指導する際は、理念や指針を軸に考え、ときに言葉に出す

・理念を達成するにはどんな行動が必要なのか、部下に考えさせ、指針を決めさせる

 (グループワークなどでやると効果的)

・理念や指針を評価基準の一部に取り入れる など

 

 

理念や指針の策定で迷われている方は、メモ程度でよいので、思いつくままに書き出すことをお勧めします。

可視化することで、客観視でき、頭の中やメッセージが整理されていきます。

 

 

まとめです。 

・差しさわりのない無難で抽象的な理念や指針は、ほとんど効果が期待できない

・社員が行動する理念や指針にするためには、①誰でも理解・判断できる ②心に焼き付つく表

現にする ③まず経営陣が徹底する この3つが重要


Vol.25

ポケGOのように夢中に仕事ができるようになる?~ゲーミフィケーションのポイント

 

さて、世界中で大流行している「ポケモンGO」。皆さんはプレイしましたか?

私は今のところプレイする予定はありませんが(笑)、なぜこれほどまでに人を夢中にさせるのでしょうか。

仕事だって、ポケモンGOのように夢中になってやってくれれば、会社にとってこんなにいいことはありませんよね。

 

今回は、そんなゲームの魅力や要素を仕事やビジネスなどに取り入れる「ゲーミフィケーション」について取り上げます。

 

誰しも、ゲームに夢中になった経験があると思います。

ここでいうゲームとは、何もスマホゲームやオンラインゲーム、TVゲームだけでなく、トランプや将棋、麻雀、ボードゲーム、或いはボーリングやゴルフなどのスポーツも含めます。

 

なぜゲームって、老若男女問わず、あんなに人を夢中に・やる気にさせるのでしょうか?

・ハイスコアを出したい

・目標やステージをクリアしたい

・人に勝ちたい

・皆で盛り上がりたい

・単にストレスを発散したい など

 

いろんな理由が考えられますが、そんなゲームのメカニズムを他の分野に応用しよう、という考え方・取組みをゲーミフィケーションといいます。

導入事例を少し挙げてみます。

 

評価制度にゲーミフィケーションを導入(㈱シンクスマイル) 

・予めいくつかの「行動指針」(仲間の成長を支援する・気づきを共有する・業績を出す・努力するなど)を明確にし、職場で共有しておく

・職場の他のメンバーが、その行動指針に値する行動をとったと思ったら、ネット上で「仮想バッジ」をそのメンバーにあげる(仮想バッジは行動指針ごとにある)

・その際、コメントをつける

・仮想バッジを貰ったメンバーは「評価されたこと」「バッジをゲットしたこと(バッジがたまっていくこと)」、「コメント」などに嬉しさを覚え、モチベーションアップにつながる

 

インセンティブにゲーミフィケーションを導入(当所クライアント)

・会社目標、チーム目標、個人目標を立てる(原則それぞれ1個、4個、4個とする)

・紙に「3×3の9マス」を書き、それぞれのマスの中に9個の目標を書く(会社目標は真ん中、チーム目標は四隅、個人目標は残りのマス)

・ビンゴの要領で、目標が達成したらその目標に「穴」を開けていく(塗りつぶしていく)

・1列穴が揃ったら、職場のメンバー全員に「ご褒美」が出る(ご褒美は予め決めておく)

 

では、ゲーム化する場合のポイントは何でしょうか。それは次の5つです。

①目標や課題の明確化

②現状の見える化

③即時フィードバック

④報酬

⑤遊び心

 

補足ですが、④報酬はあまり高額なもの・高価なものにしないよう注意が必要です。

なぜなら、報酬が高額・高価になるほど、視野が狭くなり成果が下がったり、内発的動機づけが落ちたり、倫理に反しやすくなるなど「インセンティブの弊害」が生じやすくなるからです。

先ほどの例でいえば、ビンゴのご褒美をあえて最後まで見せない方がよいかもしれません。

 

あと私の経験から言うと、ゲーミフィケーションを受け入れられる社風かどうか(遊び心で楽しめる雰囲気が職場にあるかどうか)が、ある意味最も重要かもしれません。

 

よかったら、みなさんの職場やビジネスでも、ゲーミフィケーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

まとめです。

・ゲーミフィケーションとは、ゲームの魅力や要素を仕事やビジネスなどに取り入れる考え方のこと

・ゲーミフィケーションは「目標や課題の明確化」「現状の見える化」「即時フィードバック」「報酬」「遊び心」がポイント

・遊び心で楽しめる職場の雰囲気や社風も重要


Vol.24 

人材不足時代を生き抜くヒント③~若者の採用・定着

 

若者を採用したい・定着させたいと思っている企業・経営者は、当然でしょうが非常に多いものです。

ただし、少子高齢化によって若者は年々減少し、企業間の「競争率」が高まっていくのは必至です。

ではどうすれば、企業はそのような競争に勝ち残れるのでしょうか。

 

その1つが、若者の心に響くキーワードを意識して求人や人事制度(働き方)に反映させ、若者に実感させることです。

 今の若者に響くキーワードとは、ずばりこれです。

・成長

・安定(安心)

・やりがい(社会貢献)

・仲間意識 

 

そしてもう1つ大切なことが、それらの伝え方や見せ方です。せっかくいい仕組みや慣習があっても、それがうまく社内外に伝わらなければほとんど意味がありません。

 

伝え方・見せ方のポイントはこれです。

・具体性をもたせる(社員の声や実際のエピソードなどを介して伝える)

・図や写真などで可視化する

・自社HPSNSなどを活用する

 

では、いくつかご紹介します。

・実際の社員をモデルとして選び、入社から現在までどのように成長してきたかをインタビューし、その内容を写真と一緒に求人ページや自社HPSNSなどに載せる →成長への期待を実感させる

・キャリアパス表を作り(成長を可視化し)、自社HPで公開する →成長への期待を実感させる

・若年層ほど昇給に占める定昇のウェイトを大きくし、(特に若者は賃金制度については疎いため)社員説明会などでよく説明する →安心感を与える

・評価は、人材育成の観点からもっと個々に目を向けた内容とし(人によって評価内容を変え)、定期的にフィードバックする →会社が成長を支援していることを実感させる

・グレードを可視化する(例えば、バッジなどグレードを表すものを身につけさせ、グレードによってその数やデザイン等を変える) →成長を実感させる

・若年層ほどグレードピッチを短くして、1年~数年で昇格できる制度にする →成長スピードを実感させる

・さまざまなライフイベント(出産・育児・介護等)に対応する制度や仕組みを整備し、社員の声と一緒に自社HPや求人ページで紹介する →安心感を与える  など

 

これらは一例であり、キーワードを意識した求人や制度、さらにその伝え方についていろいろ工夫できます。一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

まとめです。

・若者を採用し定着させるには、若者に響くキーワードを意識し求人や制度に反映させ実感させる

・特に「成長」「安定」「やりがい」「仲間意識」のキーワードは欠かせない

・伝え方や見せ方も重要。社員の声を反映させたり、自社HPSNSなどを上手く活用する


Vol.23 

人材不足時代を生き抜くヒント②~さまざまな働き方改革

 

今回は、さまざまな働き方について少し掘り下げてみます。

思いつくままにいくつか挙げてみます。

 

・限定正社員制度(短時間正社員・勤務地限定正社員・職務限定正社員など)

・フレックスタイム制

・時差出勤

・朝方出勤

・勤務時間インターバル制度

・1日7時間労働

・週休3日制

・ワークシェアリング

・テレワーク(在宅勤務)

・副業解禁

・事業所内保育施設

・退職者復帰制度 など

 

少し補足します。

 

限定正社員制度

社員が突然、何らかの事情で制約社員にならざるを得なくなった場合、企業に「受け皿」がなければ優秀な社員が辞めてしまう恐れがあります。

それを未然に防ぐためにも、限定正社員制度など制約社員に対する働き方について今から考えておくことは大切です。

同制度の導入においては、正社員と限定正社員の賃金バランスや公正な評価、限定正社員のキャリア形成などがポイントになります。

 

勤務時間インターバル制度

終業時間から翌日の始業時間まで一定のインターバルを確保することで、社員の休息時間を確保し、長時間労働を抑制するための制度です。

例えばインターバルを12時間と定めた場合、夜9時に退社した人は翌日の朝9時以降に始業開始となります。

ちなみに、政府は同制度を導入した企業に対して、今後助成金を支給することを考えているようです。

 

週休3日制

最近ユニクロが導入したことで話題になりました。

週の出勤日数が4日に減る代わりに、1日の労働時間が10時間に増えます。4日×10時間=40時間で、結局週の労働時間は週休2日制のときと変わりません。

これは「変形労働時間制」を使えば可能であり、特段珍しいものではありませんが、「週3日制」と言われると少し斬新な気がします。(ただし効果のほどはまだよく分かりませんが)

 

ワークシェアリング

これは以前からよく知られた働き方ですが、現実はなかなか難しい印象があります。

しかし今後は制約社員が増加していく中で、この働き方が注目されていくと思います。ワークシェアリングとまではいかなくとも、少なくとも「その人が突然いなくなっても仕事が回る」体制にしておくことは重要です。

 

副業解禁

副業については「禁止」「許可制」にしている企業が圧倒的に多いと思いますが、最近は大企業やベンチャー企業を中心に「解禁」する動きがあります。

背景には、優秀な人材の確保や育成、ビジネスチャンスを広げることなどがあるようです。

今後は、人材の採用・確保、或いは経済的な面で、非正規や制約社員に対して積極的に副業解禁していくことも一考の余地があるかもしれません。

 

退職者復帰制度 

一度退職した人がスムーズに復職できるようにする制度で、導入する企業が少しずつ増えています。復職希望者は、例えば簡単な面接を受けるだけで復職できたりします。

特に出産・育児で一度退職した女性社員を再び戦力として呼び戻したい場合に効果的ですが、今後は介護離職した社員に対しても有効になっていくでしょう。

 

いかがでしょうか。

このように会社独自の働き方を制度化することで、社員に伝わりやすくなり、また社員は安心して働けます。そしてうまく外部へアピールすることで、人材の採用にも活かせます。

 

まとめです。

・自社に合った働き方改革を考えてみる

・働き方改革を制度化・仕組み化(可視化)してみる

・制度や仕組みをうまく活用・アピールし、人材の確保・採用に活かす 


Vol.22 

人材不足時代を生き抜くヒント①~制約社員と働き方ゼロベース思考

 

多くの企業は「正社員ならば18時間・週5日勤務」が当然になっていると思います。

しかしこの考え方では、今後人が集まりにくくなっていくでしょう。なぜなら、これからはフルタイム勤務したくてもできない、いわゆる「制約社員」が増えていくからです。

 

例えば、

・出産や育児による制約社員(女性)

・育児による制約社員(男性)

・親の介護による制約社員 など

 

最近の厚労省の調査によれば、女性従業員の育休取得率は約87%となっています。女性が育休を取得することは、もう当たり前の時代になってきました。

社員が育休を取りたくても取れない会社は、もはや時代遅れと言ってよいでしょう。残念ながらそのような会社は、人材(特に女性)が集まらなくなるでしょう。

 

一方、男性従業員の育休取得率は2.3%です。

こちらはまだまだのようですが、企業にとって油断は禁物です。なぜなら、特に最近の若い夫婦世代は家事育児の分担が当たり前になってきているからです。

「男が育休なんてとんでもない!」なんて考えていると、特に若い人材は集まりにくくなるでしょう。

 

そして今後深刻になるのが、親の介護による制約社員です。

平成22年の国勢調査によれば、生涯未婚率は男性20.1%、女性10.6%です。2030年には、これがそれぞれ30%23%まで高まると予想されています。

「介護はもっぱら女性が担い、男性は仕事に専念する」といった分業モデルは、今後さらに崩壊していきます。

更に来年1月に改正される育児介護休業法では、本人から請求があれば、企業は時短勤務

や介護終了までの間、残業の免除を講じる必要があります。育休と違い、介護はその終了時期が予想できません。 

 

今後、人材を採用・確保し続けるためには、制約社員への対応は無視できなくなるのです。

そこで、今の御社での働き方(働かせ方)について、次のように一度ゼロベースで考えてみることをお勧めします。

・本当に「18時間、週5日勤務」の正社員でなければダメなのか?

(「短時間正社員」など限定社員ではダメなのか?)

10時~15時までの14時間勤務ではダメなのか?

・残業できない社員は本当にダメなのか?

・週休3日ではダメなのか?

・本当に毎日会社に出勤しなくてはダメなのか?(テレワークはできないか?)

・本当に男性(女性)でなければダメなのか?

・高齢者では本当にダメなのか? など 

 

まとめです。

・出産育児のほか、特に親の介護による制約社員は今後増えていく

・制約社員に対応できない企業には人材が集まりにくくなる

・まず現状の働き方をゼロベースで見直し、制約社員の働き方について検討してみる


Vol.21 郷に入っても郷に従わず~外国人労働者と上手くつき合うには

 

経産省の調査によると、外国人留学生のうち約7割の学生が日本での就職を希望しているにも関わらず、実際には3割しか就職していないそうです。年間1万人の留学生が卒業後に日本以外の国で就職しているそうです。

人材不足が叫ばれる中、外国人留学生は優秀な人材が多いというのに、実にもったいない話ですね。

そこで今回は、外国人労働者について取り上げます。

 

私は仕事柄、外国人労働者に関する労働トラブルについて、経営者や人事担当者から時々ご相談(&愚痴)を受けます。例えば…

・指示したことしかやらない!

・時間にルーズ!

・仕事が段々雑になる!

・何かと口答えし、素直に非を認めない! 

・ちょっと注意しただけで(泣き)わめく! などなど

 

「郷に入れば郷に従え」ということわざがあるとおり、「ここは日本だから日本流に合わせろ!」と言いたくなるものです。

しかし、生活習慣や文化、価値観などが違う中で生まれ育ってきた外国人に理解してもらうことは、なかなか難しいのが現実です。

 

そこで大切になってくるのは、まず相手をよく知るということです。

典型的な日本人と外国人の価値観や特徴の違いをあげてみます。(もちろん国によっても違いますし、これらに該当しない人もいます)

 

日本人                   

・指示は曖昧

・結論を出さない(先送りする)

・集団の意見を重んじる

・計画やスケジュールなど時間管理を優先

・約束の時間や場所は厳守する

・努力やプロセスを重視する

・賃金や昇格は年功主義

・金銭的インセンティブが動機づけになるとは限らない

・人前で注意されるのに慣れている

・仕事とプライベートをはっきり区別する

 

外国人

・指示は明確

・結論ありき

・自分の意見を重んじる

・計画より人間関係やその場の状況による柔軟性を優先

・約束の時間や場所は状況によって変わり得る

・結果を重視する

・賃金や昇格は実力主義

・金銭的インセンティブが動機づけになりやすい

・人前で注意されるのを嫌う

・仕事とプライベートの境界は曖昧

 

いかがですか?

日本の常識が世界の非常識ということもあります(個人的には結構多いのではと思います)。

相手を知ると同時に己を知る。そこから外国人労働者と上手につき合うヒントが見えてく

ると思います。例えば

・外国人労働者に指示を出す場合は、個別具体的に行う

・時間に関する社内ルールを設け、外国人労働者に少しずつ理解させる 

・外国人労働者に注意をする場合は個室で行う

・仕事や成果と処遇(賃金や昇格等)の関係を分かりやすくする など

 

 

今回のおさらいです。

・外国人労働者には、「郷に入れば郷に従え」はなかなか通用しない 

・相手をよく知った上で最善策を考える

・日本の常識は世界の非常識かもしれない。相手の良いところは柔軟に取り入れてみる