◆人材マネジメント

Vol.50  アサーティブなコミュニケーション①~部下の問題点を指摘する

 

先日、アサーションの研修を受けてきました。 

アサーションとは、相手を尊重しつつ、自分の意見や要求、感情を率直に・誠実に・対等

に伝えるコミュニケーションの技法です。アサーティブな表現ができると、一方的になっ

たり、言葉をのみ込んだりすることなく、本当に伝えたいことが適切に伝わるようになり

ます。

 

今は何かとすぐに「ハラスメントだ」と言われかねず、コミュニケーションをとることが 

難しくなってきた感があります。でも、臆病になりすぎることも良くありません。

今回は、そんな今の時代により必要になるであろう、アサーティブなコミュニケーション

についてご紹介します。

 

いきなりですが、次のようなケースでは、あなたは①~④のうちどれに近い対応をします 

か?

 

あなたは課長。部下のAさんは現場の対応に追われて、あなたへの進捗状況の報告が遅れ 

ることが頻繁にあります。あなたは何度か「都度報告するように」と言っていますが、今

週もまた報告が遅れています。

 

①「何度言ったら分かるの?どうしていつも報告しないの。もういい加減にしてよ」と怒 

る。

②「Aさんも一生懸命やっているんだし…しょうがいないな」と考えて、何も言わない。

③「また誰かさんのおかげで業務が遅れて、みんなが迷惑しているよ」とAさんに聞こえ

るように言う。 

④「Aさん、進捗状況の報告が遅れることがここ2ヵ月くらい続いています。その結果、

全体のスケジュールが遅れて困っています」

 

①は「おこりキャラ」、②は「ひるみキャラ」、③は「いやみキャラ」、④は「さわやか 

キャラ」です。

実はこの①~④のそれぞれのキャラを、誰しもが持っています。その時々の場面や相手と

の関係性などにより、いろんなキャラになるわけです。

①~③のキャラが全くダメというわけではありませんが、アサーティブなコミュニケーシ

ョンには、④のキャラが欠かせません。

 

先ほどの④の対応には、まだ続きがあります。 

「Aさんが、お客様に迷惑をかけないように現場の対応を優先しているのはいいことだと

思いますが、これ以上業務が遅れることは良くありませんし、心配です。ですので、毎週

1回、金曜日の午後に進捗状況について口頭でよいので必ず報告をお願いします。何か問

題があれば一緒に話し合いたいと思います」

 

いかがでしょうか。これがアサーティブなコミュニケーションの一例です。

 

今回のアサーティブなコミュニケーションのポイントは、 

何か問題を伝えるときは、事実を客観的に述べる

上の例では、「進捗状況の報告が遅れることがここ2ヵ月くらい続いています。その結果、

全体のスケジュールが遅れています」というところになります。

 

自分の気持ちを率直に伝える 

上の例では、「~その結果、全体のスケジュールが遅れて困っています」「~これ以上業

務が遅れることは良くありませんし、心配です」というところになります。

 

具体的な要望を伝える 

上の例では「毎週1回、金曜日の午後に進捗状況について口頭でよいので必ず報告をお願 

いします」というところになります。

 

相手の立場や状況、気持ちを代弁する 

上の例では「お客様に迷惑をかけないように現場の対応を優先しているのはいいことだと

思います」というところになります。

 

いかがでしょうか。 

相手の問題点を指摘したり、部下にダメ出しをする場合は、①~④を意識した「さわやか

キャラ」でいきましょう。

他にもアサーティブなコミュニケーションのポイントはいくつかありますが、また次回以 

降にご紹介したいと思います。

 

今回のまとめです。 

・アサーティブとは、自分も相手も尊重しながら自己主張し対話するコミュニケーション

の方法をいう。

・相手の問題点を指摘する場合は、次について意識する。

 ①事実を客観的に述べる ②自分の気持ちを率直に伝える ③具体的な要望を伝える 

④相手の立場や状況、気持ちを代弁する


Vol.49  理念経営と仕組みで社員のやる気を高める~ヨシムラ視察報告

 

先日、焼津インター近くにある、株式会社ヨシムラ様へ視察訪問してきました。今回はそ

のときの報告をしたいと思います。

同社は、お茶など食品包装資材の企画・製造・印刷・販売をされている、社員230名ほ

どの中小企業です。

理念経営と社員のやる気を高める仕組みによって、社員満足度が高く業績も伸びている 

「いい会社」で、今年「日本で一番大切にしたい会社大賞」を受賞されています。

 

徹底した理念経営 

・理念がなかなか浸透しなかったため、3年くらい前から、理念を自分の言葉で言えるよ

う、また自分の仕事に置き換えられるよう、理念経営に取り組んでいる。

・定期的に振り返り、理念と自身の行動とのギャップを探し、そのギャップを埋めるため

のPDCAを回すようにしている。

・各部署や各課の理念もある。更に今では社員が独自に考えて、商品キャラクターにまで

も理念を作るくらい浸透してきている。

・メーカーとしての立場にこだわり、付加価値のある商品・サービスを提供することで、

決して安売りしない、下請けにならない、ということにこだわっている。これは中小企

業が生き残る術である。

 

社員のやる気を高める仕組み 

・社員から上がってきた(他の社員に対する)感謝の言葉を社長自ら週報にまとめて、配

布している。今では、載せきれないほどたくさんの感謝の言葉が集まる。これは、誉め

て人を伸ばすことより、あくまでも感謝することが大切であるとの思いから。

・多能工を推奨していて、誰がどの仕事を習得したか、グラフで一目瞭然になっている。

また、男性ばかりの職場に女性社員が加入しリーダーになるくらいに育っている。ダイ

バーシティは、まずはやらせてみることが大切。

・年に1回の経営計画の発表会では、社員一人ひとりが目標を発表し、それに対して他の

社員がいろいろ意見を言い、そこで皆の承認が得られれば、晴れてその目標は採用され

る。そういった過程を経ると、一人だけの目標ではなく、全社員の目標として認識・共

有化される。

・「イチオシ投票」では、社員の名前を投票し、選ばれた社員が毎年表彰される。社員を

変えることは難しいので、仕組みを変えることが大切。

・毎年CS(顧客満足度)調査とES(従業員満足度)調査を行っている。毎回思わぬ点

 を指摘され、「有頂天になるなということ」と意識がリセットされる。

・何か仕事で大きな失敗が起きたとき、それを「レジェンドリスト」として残し、代々伝

え活かしている。レジェンドリストのネーミングも大切で、一度聞いたら忘れないくら

いインパクトのあるネーミングにしている。

・「ノーベル起案」は誰でも起案できる制度で、1回起案するごとに500円もらえる。

社長曰く「私が起案しても採用されないこともあります(笑)」

・製造現場では、1人1人の各スキルレベルを相撲の番付で可視化していて、人材育成に

役立てている。朝礼で、各自がファインプレイのみならず、ヒューマンエラーについて

も包み隠さずオープンに発表している。

・新入社員研修は2ヵ月間で、いろんな部署をローテーションする。講師は専ら社員が行

い、研修最後には卒業制作をする。離職率は1.9%で、会社の方針で絶対に解雇はしな

い。

 

5分会議 

・会議は、短時間で生産性と成果が上がる「5分会議」にこだわっている。

・5分会議とは、1グループごと(最大6名まで)テーマにそって、一人ずつ順番に思い

つくまま意見を言っていく。一人が司会となりタイムを計り、もう一人が書記役となり、

出た意見を模造紙に書いていく。その時、漢字は使わずあくまでひらがなで書く。とに

かくスピードを重視する。全員立って行う。会議が終わったら模造紙を写メで撮り、そ

れがそのまま議事録となる。

・部署間をまたいで誰でも気兼ねなく意見が言え、短時間で済む5分会議は、タイムマネ

ジメント、書くこと、コミュニケーションのスキルが得られ、一番の社員教育として位

置付けている。

 

【所 感】 

理念がなかなか社員に浸透しないと嘆く経営者は多いですが、同社は社員に理念を自分事

として考えさせる工夫をしています。やはりトップダウンだけでは、浸透させるのは限界

があると思います。

さまざまなユニークな仕組みの中で特に驚いたのが、レジェンドリストや朝礼でのエラー 

の発表を通じて、それを全員の教訓とし今後の業務に活かしていることです。通常はミス

をすれば隠したがるものです。よほどお互いに信頼し合え、何でも言い合える職場風土が

醸成されていなければできません。

名物の?5分会議は、我々参加者も体験させてもらいました。通常の会議とは全く違うと 

言っても過言ではなく、誰の目を気にすることなく自由に意見が言い合えるのがよいと思

いました。効果は1回やっただけではよく分かりませんが、よくある会議(時間をかけた

割には何も決まらない・誰も積極的に発言しない等)よりは、よほど成果は上がると思い

ます。

同社の大きな強みは、とにかく社長が明るく楽しい方ということ。それがそのまま社風と 

なっているようです。参加者からの質問タイムでは、社長をはじめ多くの社員の方々が、

包み隠さずオープンに明るく答えてくださり、仲の良さも垣間見えました。社長曰く「私

は仲間がいるから孤独ではありません」という言葉が胸に残りました。ちなみに同社では

役職では呼ばず、全て「さん」付けで呼びます。

いい会社にしようと決心し、いろいろと試行錯誤しながら今の形になったようで、やはり 

トップの思いや行動次第なんだと改めて思いました。そして、決して人を大切にすること

だけではなく、経営(数字)に対してもとことん厳しい。これらは「いい会社」に共通す

ることです。

今まで伺った中でも特に印象に残る会社でした。焼津インターから近く、毎月開催されて

いるようですので、機会があれば一度参加されてはいかがでしょうか。経営のヒントが見

つかるかもしれません。


Vol.48  やりっぱなしで終わらせない、効果的な研修にするには

 

今回は「企業研修」を取り上げます。 

皆さんの会社・職場では研修を行っていますか?(或いはどんな研修を行ったことがあり

ますか?)その研修はどんな効果がありましたか?

研修は社員育成には欠かせないものですが、特にこれといった効果も出ないまま「やりっ

ぱなし」で終わった研修は案外多いのではないでしょうか。

そこで今回は、そうならないためのポイントをご紹介します。

 

まずおさらいです。企業研修には、大きく次の2つあります。 

1 OJT

2 OFFJT

 

1は「On The Job Training」の略で、「職場内訓練」と訳されます。現場で実際に仕 

事を進めながら、上司や先輩が必要な知識やスキルを計画的・体系的に部下に教え、身

につけさせるものです。主に新入社員などが対象になります。

 

2は「Off The Job Training」の略で、「職場外研修」「座学」と訳されます。職場 

を離れて社内の担当部署が考案したメニューや外部の研修機関が作成したプログラムを受

講し、必要な知識やスキルの習得を図るというものです。新入社員から上層部まで、階層

別に受講することが多いです。

例えばビジネスマナー研修、リーダー研修、コミュニケーション研修などです。

 

研修で学んだことが現場で実践される・成果が生み出されることを専門用語で「研修転移」 

といいます。

研修転移が実践されるかどうか(現場で実践され成果を生む研修になるかどうか)は、主

に次の3つの要素で決まると言われています。

①受講者自身(能力や性格、意欲)

②研修内容

③職場環境(周りの支援・使用機会)

 

このうち②と③について、研修転移が実践されるためのポイントをまとめてみます。

 

②研修内容

・講義だけでなく、ディスカッションなどで受講者を参加させる。

・受講者が日常業務の中でどのように活かせるのか、活用場面のイメージが湧くよう具体

的に伝える。

・目標設定させ、「職場に戻ったら実践できそう」という気持ち(自己効力感)を高める。

・研修後の行動目標を皆の前で宣言させる。

・現場での状況と研修での学習内容をなるべく一致させる。

・異なる状況でも適用しやすいよう普遍的原理を伝える。

・研修後、一定期間を空けてから再トレーニングする。など

 

③職場環境 

・上司に「部下にどんな研修が必要と考えるか」をヒアリングし、それを参考にして研修

内容を組み立てる。

・研修内容が決まったら、研修前に上司に研修概要を説明する。

・経営者や役員などに研修当日に登壇してもらう。(経営陣からお墨付きをもらう)

・上司にも研修で話をしてもらう。

・上司を先に招集し、研修を体験してもらう。

・研修後、上司と部下で定期的に研修の振り返りを行う など

 

更に、上司として次のような態度が必要です。 

・部下が何を学んできたかに興味をもち、その内容を把握する。

・学んだ成果を仕事に活用することを奨励する。

・学んできたことを確実に仕事に転用させる。

 

最悪なのは、こんな上司がいる職場です。 

・研修に対して無関心である。

・部下が研修を受けることを快く思っていない。

・自分の部署の仕事が回らなくなることばかり心配している。

・研修で学んできたことの活用を禁止している。など

 

これではせっかく部下が研修を受けてきたところで、なかなか研修転移は実践されません。 

研修転移が実践されない主たる理由として「上司の無関心」があると思います。そうなら 

ないためにも、是非上司を「巻き込む」ことで「関心ごと」にさせることが大切です。 

 

私は仕事柄、企業研修の講師を務めることがあるのですが、特に意識しているのが、 

・研修は原則、上から(経営者や役員、上司やリーダーから)やる。(部下は最後)

・終始一方的に話をするのは避け、途中にディスカッションやワークショップを取り入れ

る。 

・研修の最後に、受講者に目標などを書き出させたり、発表させる。

ただし、だけ意識・注意していても、職場で研修転移が実践されることは難しいのが現 

実です。当然、企業や上司の協力が必要になります。

 

 

今回のまとめです。 

・研修で学んだことが現場で実践される・成果が生み出されることを「研修転移」という。

・研修転移を実践するには、特に研修内容や職場環境(周りの支援等)を工夫する。

・研修に対する上司の無関心さを関心ごとに変えるよう、上司を研修に巻き込む工夫をす

る。 


Vol.47  パワハラと言われないための上司のアンガーマネジメント

 

今年は何かとスポーツ界でのパワハラ問題が続いています。パワハラは上司から部

下に対するものだけではなく、その逆もありますし、同僚同士でもあります。

とは言っても、やはり権力が集中する人が起こしやすいことは否めないと思います。

そこで今回は、特に上司として、パワハラと訴えられないための「アンガーマネジメント」

(怒りの気持ちを上手にコントロールするための術)をご紹介します。

 

上司として部下に対して怒りを覚える場面は、例えばこんなものがあると思います。 

・指示してもその通りに動かない、やらない

・返事だけはいい

・同じミスを何度も繰り返す

・反抗する

・やる気がみられない

・決めたルールを破る

・報連相がない などなど

 

確かにこういったことが何度も繰り返されると、声を上げて怒りたくもなります。但し度 

を過ぎると、今は悲しいかな、すぐに「パワハラだ」と言われかねません。

そこで、怒りの感情が湧いてきたなと思ったら、例えば次のことを意識すると良いと思い

ます。

 

①6秒間我慢する 

一般的に怒りの感情は6秒経てば落ち着くと言われています。この6秒を乗り切れば、怒

りの感情に任せた言動が抑えられると言われています。(ただ私はまだまだ未熟ですので、

6秒では足りなかったり、後から“ぶり返す”ことがありますが…)

ちなみに私は、(6秒間と言わず)その感情が収まるまで、心の中で「怒ったらきっと後

悔する・怒ったらきっと後悔する…」と念仏のように繰り返しつぶやきます。

 

②一旦その場を離れる(すぐに反応しない) 

怒りの感情が湧いてきたら、一旦その場から離れるのも効果的です。これは物理的にもそ

うですし、時間的にもです。相手が対面であっても、電話でもメールでも同じです。

そうすると大抵はクールダウンでき、後から冷静に対応することが可能になります。私は

その都度「すぐに反応しなくてよかった…」と思います。

 

③怒った後の嫌な気持ちを思い出す 

皆さんは、感情に任せて怒ってしまった後に「何であんな言い方をしたんだろう」と後悔

したことはありませんか。私はあります。

怒りの感情が湧いてきたときに、その時の嫌な感情を思い出すことで、その気持ちをコン

トロールすることができるかもしれません。

 

④自分と比較しない 

皆さんが今、経営者や上司でいる理由は何でしょうか。

それはきっと、経験や能力、実績或いは人望など他の人よりも優れている点があるからだ

と思います。

そういった人よりも優れている人は、他の人(部下)の行動を見ていて「なぜできないん

だ」と自分と比較してしまいがちです。これがイライラする原因になりがちです。

「人は自分と違うもの」と言い聞かせることで、その気持ちをコントロールすることがで

きるかもしれません。

 

⑤事実を淡々と伝える 

例えば部下が何かミスをした場合、皆さんは上司としてどのように注意しますか。

感情的にすれば、部下はその場しのぎの態度をとったり、それこそ「パワハラだ」と言わ

れかねません。 

そのような場合は、むしろ冷静になって、まず起こった事実だけを淡々と指摘することで

す。感情的に言っても言わなくても、事実は変わりません。そして次に、そのミスが起こ

った原因を本人に考えさせ、対策につなげていく、こういった対応が上司として求められ

ると思います。

 

⑥過度に期待しない 

人が怒りを覚える場合、大抵は相手に対して何かしらの期待をしています。

相手に期待する→相手が期待に応えてくれない→怒りが湧いてくる、というメカニズムで

す。

人は人に対して(或いは自分に対して)、知らず知らず期待しすぎるのではないでしょう

か。それが怒りの根本的な原因かもしれません。この期待値のハードルが高くなりすぎて

いないか、注意することも大切です。(場合によっては「あきらめる」ことも必要かもし

れませんね)

 

部下は絶えず上司を見ています。感情的になって怒る上司を尊敬する部下や、そういった 

上司についていこうと思う部下は恐らくいないと思います。

我慢我慢で上司もつらいところですが、アンガーマネジメントとは、自身の心をコントロ 

ールする術であり、上司として必要な自身に対するマネジメントなのです。

 

今回のまとめです。 

・アンガーマネジメントとは、自身の怒りの感情をコントロールする術であり、上司とし

て必要不可欠なマネジメント。

・怒りの感情をコントロールする、自分なりのノウハウや術を見つける。怒りをコントロ

ールするのもテクニック。

・経営者や上司は権限が集中しやすいため、(パワハラと言われないためにも)特に意識

する。


Vol.46  カルビー松本晃氏の人材育成・リーダーシップ論

 

昨日、静岡市主催の働き方改革シンポジウムに参加し、元カルビーCEOの松本晃氏

の講演を拝聴してきました。松本氏はメディアで幾度も取り上げられているため、ご存知

の方も多いかと思いますが、カルビーのCEOとして就任以降8期連続で増収増益を達成、

今年6月に同社のシニアチェアマンに就任されると同時に、RIZAPグループのCOO

に就任されました。

 

そこで今回は、その講演の中で出た、松本氏の人材育成やリーダーシップについてご紹介

したいと思います。

 

では箇条書きでご紹介します。

・経営とは、①全てのステークホルダーを喜ばせること ②世のため、人のために尽くす

こと ③儲けること の3つ。ステークホルダーは、①顧客や取引先 ②社員とその家

族 ③コミュニティ ④株主 の順に大切にする。

・うまくいく経営に欠かせないのが、①ビジョン ②プラン ③リーダーシップの3つ。

・リーダーシップとは、組織を率いて継続して成果を出すこと。部下がついてくる3要素

とは、①圧倒的な実績 ②理論的思考 ③人徳 の3つ。強いリーダーの3要素とは、

①伝える ②決める ③逃げない の3つ。

・人に厳しくも温かい会社は生き残る。厳しさとは成果追求であり、温かさとは成果を出

すための仕組みや制度、文化や環境、人材育成である。カルビーに就任した当初は、温

かさはあるものの厳しさがなかった。

・部下への権限移譲は、最強の人材育成である。若年者へどんどん仕事を任せたらいい。

誰でも最初からうまくはいかない。でも若年者が失敗したところで会社は潰れない。

・オフィスは全てフリーアドレスにした。毎回席番が変わる仕組みになっていて、私物は

置けないようになっている。また壁で仕切られた会議室や社長室はなくした。私の部屋

も特に無い。机とパソコンがあるだけ。

・賃金は年俸と役職給、ボーナスの3構成。年俸は生活給としての意味合いで払っていて、

役職給は一定の責任(計画達成と部下育成)を担う者に払っている。等級制度はなく、

あるのは責任だけ。

・社内でダイバシティ委員会を設立したり、16時退社の導入など、女性活用は最も力を

入れて取り組んだ。結果、結婚や出産で辞める人はほとんどいない。女性活用のポイン 

トは上からやること。社外取締役5名のうち2名は女性だ。

・「女性は偉くなりたがらない」というのはウソ。男性は報酬より名誉や肩書を重視する

が、女性は責任と報酬のバランスをよく見ている。バランスのとれた責任と報酬を提示

できれば、女性は管理職に手を挙げる。

・「NO MEETING、NO MEMO」会議はくだらないので好きでない。早く帰

るのが一番いい。部下の時間を奪うのはいつも上司だ。

・単身赴任を拒否できる「単身赴任拒否制度」や在宅勤務制度の見直し(家に限らずどこ

で仕事をしてもいい制度への変更)を行った。

・部下が求めるものは、①豊かさ(時間も含む)やワークライフバランス ②ワクワクす

る仕事 ③成長 の3つ。一方、会社が求めるのは成果。そのような中で会社は、①感

謝の言葉を声に出して伝える ②皆の前で賞賛(表彰)する ③報酬 の3つをバラン

スよく行うことが大切。

・高度成長していた頃は、年功序列や終身雇用、時間外労働は抜群に機能していた。でも

今は全く時代が変わってしまった。過去の労働慣行でうまくいくはずがない。一度、過

去の働き方や制度をぶっ壊してみると良い。今は時間で働く時代ではなく、成果で働く

時代に変わった。

 

【所感】 

淡々とかつ余裕をもって話される・受け答えされる姿、非常に明確な考え方、そして今ま

での実績などを拝聴すると、さすが大企業を長年にわたり増収増益させてきたプロ経営者

だと納得せざるを得ませんでした。

プロセスより成果重視である一方で、社員の働き方や生き方に対する配慮があり、「厳し

くも頼れる上司・部下思いの上司」として、社員に慕われていらっしゃったのではないで

しょうか。

講演の中で終始一貫して、未だ見られる旧態依然とした労働慣行に異議を唱え、時代は変

わったのだから働き方・生き方も変わらなくてはいけないということを力説されていまし

た。

それを働き方改革と呼ぶかどうかは別として、意識と行動を変えていかなければいけない

時代なんだと改めて感じました。

ちなみに、就任されたライザップについては、「関連会社が多く、複雑でまだよく分かっ

ていません。でも何だか面白そうなので引き受けました(笑)」とのことでした。


Vol.45  日本代表のあのプレーから考察するリーダーの決断力

 

今回は、予選最終戦のポーランド戦の最後で日本チームがとったあのプレー(パス

回し)を例に挙げ、リーダーの決断力について考えてみようと思います。

 

あのプレー(戦術)、皆さんはどう感じられましたか?賛否両論それぞれあるかと思いま

す。(正解・不正解はないと思いますが)

 

賛成派の人は結果重視のタイプ、反対派の人は内容重視のタイプと言えるのではないでし

ょうか。

そう考えると、経営者は賛成派の人が多いかもしれませんね。会社経営は結果が出てナン

ボの世界。しょせんきれいごとを並べても結果が出なければ意味がない、と考える経営者

は多いと思うからです。

 

さて、もし皆さんが西野監督の立場だったら、あの場面、何をよりどころにどう判断・決

断するでしょうか。或いは、職場においてリーダーとして重要な決断を迫られた場合、何

をよりどころにどう判断・決断するでしょうか。

 

私なら、例えば次の観点から考え、最終的に決断する(決断したい)と思います。

①その決断は、チーム(会社や組織)の理念や行動指針、目標に合っているか?

②中長期的にみて、その決断を選択した場合のリスクやデメリットはどうか?

③その決断に責任をもてるか?

 

①は、そもそもチーム(会社や組織)の明確な理念や行動指針、目標やビジョン(以下

「理念等」)といったものがあることが大前提となります。

理念等が無いと、場当たり的な見当違いの判断・決断になりかねません。理念等は、進む

べき道を外さないための道しるべともいえます。

更に普段から、選手(部下)に理念等を周知していること、リーダー自ら理念等にそった

言動がとれていることも重要です。口先ばかりで言動が伴っていなければ、いざというと

き選手(部下)は心から動いてくれないでしょう。

 

②は、その決断により例え何かしらの結果を出せたとしても、その後の選手(部下)のモ

チベーションやファン(顧客)との関係において、悪影響を及ぼすようでは考えようです。

例えば、その結果を得るためにファン(顧客)を犠牲にしたのであれば、選手(部下)は

やり切れない思い・罪悪感を抱くでしょう。そうなると、選手(部下)やチームの士気は

下がり、人が離れていったり、長期的に見て成績(業績)は悪化するかもしれません。

「木を見て森を見ず」といったところでしょうか。

 

③は、言ってみればリーダーとしての覚悟・潔さがあるかということです。

例え結果が出なくても、決して選手(部下)のせいにせず、責任転嫁しないのは言うまで

もありません。(ただ私なら、ネットは絶対に見ないようにしますが)

 

以上はあくまでも私個人の考え方ですが、あの試合のように、重大な決断をするのにはあ

まりにも時間がない場合、果たして冷静に考えられるかどうかは正直自信ありません。

リーダーとして、常に冷静に考えられる要素も必要なのだと気づかされます。更に、答え

なき答えを出さなくてはならない、リーダーのつらさにも気づかされます。

 

経営や職場においても、リーダーとして短時間に重要な決断を迫られる場面はきっとあろ

うかと思います。

リーダーの決断力を考える上で、今回のあの試合、あのプレーを1つのケーススタディと

して捉えるといろいろ参考になると思います。


Vol.44  人を大切にする経営学から学ぶ②~いい会社に共通する仕組みとは

 

前回に引き続き、今回も法政大学の坂本光司教授の書「人を大切にする経営学講義」 

から、一部をご紹介したいと思います。

先生は、過去8千社ほどの企業を視察された経験を踏まえ、社員満足度が高くて離職率が

低く、そして業績も伸びている、そんな「いい会社」の例外のない共通項は、「全員参加 

経営が行われていること」と指摘されています。

 

例えば、社員の計画づくりへの参加があります。誰かによって作られた計画・トップダウ 

ンの計画は、やらされ感が強いばかりか、無から有を作り上げていく喜びに欠けるとして 

います。

 

私の経験からみても「いい会社」には、社内にさまざまなプロジェクト活動や委員会活動 

があります。 

例えば製造業ですと、5S活動やQC活動などがよく知られていますが、そういった活動

も全員参加経営の1つと言ってよいと思います。

 

更に「いい会社」におけるプロジェクト活動には、次のような特徴が見受けられます。

・社員が自主的に活動できる工夫や配慮がある。

・活動結果について、掲示版で可視化したり、発表する機会をもたせ、情報共有している。

・部署をまたいでメンバー構成していて、横の関係を強化している。

・優秀な活動をしたチームを表彰している。 など

 

「うちの会社はそんなに規模も大きくないし、プロジェクト活動なんて大袈裟で縁がない 

よ」と仰る経営者もいるかもしれませんね。

そんなとき私がよく言うのは、何か社内イベント(例えば、昨今再び関心が高まってきて

いる社員旅行や、飲み会、レクリエーションなど)を社員に企画・運営させてはどうか、

ということです。

予算だけ与えておき、あとは基本的に社員に任せるのです。複数のチームにアイデアを競

わせても面白いと思います。

 

効果としては、次のようなものがあります。 

・自主性が養われる。

・特に普段、企画や運営の仕事に携わっていない社員ほど、貴重な経験になる。

・会社としても、社員の思わぬ一面が見れたり、発見がある。

・仕事においても、主催者側・相手の気持ちがよく理解でき、協力的になる。など

 

上記以外に坂本先生が指摘する、人が育つ仕組みや仕掛けについて、いくつかご紹介します。 

・価値ある経営戦略を策定する

・期待される社員像を明示する

・経営をガラス張りにする

・教育訓練の充実、強化を図る

・リスクの奨励をする

・表彰制度など社員にスポットライトをあてる

・社員にポストとチャンスを与える

・自己啓発を支援する

・提案制度を導入し活用する

・抜擢人事を実践する

・上司の評価は、部下を管理することではなくリードすることに重きを置く

・徹底して権限を委譲する など 

 

では今回のまとめです。 

・「いい会社」の例外のない共通項は、全員参加経営が行われていること。

・「いい会社」は、社員が主体となったさまざまなプロジェクト活動を実践している。

(社内イベントでもいいので、社員に企画・運営させてみる)

・人を育てる仕組みや仕掛けを意識的に導入・実践してみる。


Vol.43  人を大切にする経営学から学ぶ①~会社が幸せにすべき5人と優先順位

 

昨年末に、法政大学の坂本光司教授が「人を大切にする経営学講義」という本を出版され

ました。

坂本先生は、ご存知の方も多いかと思いますが、本県出身で、今まで国内外で約8千社も

の企業を視察調査され、講演活動されています(私も何度か聴きに行っています)。

また審査委員長を務める「日本で一番大切にしたい会社大賞」では、人を大切にして業績

も伸びている全国の「いい会社」について、国をあげて毎年表彰されています。

 

この本は、タイトルどおり人を大切にする経営の大切さはもちろんのこと、中小企業が生

き残るための様々なヒントが、実際の会社事例を交え経営面・経済面から解説されていて、

特に経営者やリーダーには非常に参考になると思います。

そこで今回から、本書の内容について一部ご紹介させていただこうかと思います。

 

「人を大切にする経営」とは、関係する人々の幸せこそを最優先・最重視する経営のこと

で、「社員第一主義」「五方良し」という考え方が原点にあります。

具体的には、次の順でその幸せを実現することが会社の使命であるとしています。

 

①社員とその家族

②社外社員(取引先)とその家族

③現在顧客と未来顧客

④地域住民や社会的弱者(障害者や高齢者)

⑤出資者、関係機関

 

①ですが、③の顧客より社員を大切にするというのは、「ES(従業員満足度)なくして

CS(顧客満足度)はない」という考え方があります。

社員の満足度が低くては、顧客に満足のいくサービスや商品の提供ができるはずがありま

せんよね。

また社員が安心して働くためには、家族あってのことです。その家族を大切にするという

観点も大切です。

 

②ですが、取引先をあえて「社外社員」と呼んでいるのが特徴的です。

「取引先」と呼ぶと、どうしても「取引先=コスト」という考え方になりがちです。会社

は、利益を捻出するためにコストを下げる努力をするわけですが、取引先に過度なコスト

ダウンを要求してまで(誰かの犠牲の上に立ってまで)自社だけが恩恵を受けるというこ

とは健全ではなく、またそのような関係は長く続かないということです。

更に社外社員への支払いについては、手形支払いはせず、全額現金にて、せめて締日20

日以内に行うことが望ましいとしています。

ある住宅リフォーム会社では、通常の支払いは月末締め翌月20日支払い(全額現金払い)

としているところ、何かと出費が重なる12月だけ20日締め当月27日払いとしていま

す。その会社はやはり人を大切にした経営をしていて、業績も伸びています(私はその会

社社長の講演を聴いたことがあります)。

人は相手から優しくされたり協力されると、思わずお返ししたくなったり、応援したくな

るものです。「お互い様」の気持ちです。つい忘れがちですが、自社が成り立つのは、社

外社員が自社の代わりをしてくれているからこそ、ですよね。

 

④ですが、障害者法定雇用率というのがあります。今年4月からは、民間企業は2.2%

になっています。

現実的に障害者を直接雇用することが難しい企業は、”間接雇用”(障害者雇用を積極的に

進めている企業からものを仕入れたり購入する)という方法・考え方があります。

 

⑤ですが、一般の経営学においては、企業にとって最も重要なステークホルダーは株主な

どの出資者となりますが、ここでは真逆です。⑤の幸せとは、「①~④の幸せを追求・実

現した結果として実現する幸せ」という考え方です。

但し現実は、株主や金融機関の意向を最も忖度している会社もあると思います。その場合、

無借金経営や非上場経営をすることで、株主第一主義から決別できるとしています。

また、会社の組織図も社長を頂点としたピラミッドではなく、それを逆さまにした(社員

を頂点、社長を底辺とした)ピラミッドにしてみるといいです。そうすることでいろいろ

と見えてくるものがあります。

 

 

さて、ここまで読まれてこう感じる方もいると思います。

「人を大切にする経営が大事だということは分かった。でも、そんなことをしていて経営

は成り立つのか?業績は上がるのか?」と。

 

それについては是非、坂本先生の講演や書籍などを見聞きして頂けたらと思います。また

機会があれば、そのような会社を是非見学していただくとよいかと思います。(百聞は一

見にしかず、です)

実際、そのような「いい会社」(社員満足度が高くて離職率が低く、業績も伸びている会

社)は全国にいくつもあります。もちろん、静岡県にもあります。例えば、前述の日本で

一番大切にしたい会社大賞を参考にしてみて下さい。

最近はそのような「いい会社」だけを取り扱った投資信託(鎌倉投信「結い2101」

も出てきています。

人を大切にすることと業績との間に相関関係があることに、意識の高い経営者や会社は気

づき始めています。

 

今後、人手不足でますます苦慮する会社と、人を大切にして業績を伸ばす「いい会社」に

より二極化していくような気がしてなりません。みなさんの会社はどちらですか?

 

 

では今回のまとめです。

・人を大切にする経営とは、関係する人々の幸せを最優先・最重視する経営のこと。

・①社員とその家族  ②社外社員とその家族  ③顧客 ④地域住民や社会的弱者 

⑤出資者 の順に幸せにすることが会社の使命。

・人を大切にすることで業績が伸びている会社は、現実にいくつもある。

 


Vol.42  部下のモチベーションを上げるには人間関係に配慮する

 

日本人は、相手や周囲との関係性を非常に重んじます。

例えば「私」を表す単語は、英語は「I」だけですが、日本語はそのときの相手や周囲と 

の関係性により、「私」「僕」「オレ」「ウチ」「父さん」「母さん」「弊社」などいろ

いろあります。

スポーツ選手は、勝利者インタビューでは決まって「応援してくれた人たちやファンのお

かげです」と答えます。

子供に「学校のテストでよい成績をとることが大切なのはなぜか」と聞けば、「親や先生

を喜ばせたいから」「成績が悪いと親に叱られるから」と答えます。

学生に「良い大学や良い会社に入りたいのはなぜか」と聞けば、「両親に恩返ししたいか

ら」「親を楽にさせてあげたいから」と答えます。

これらは、周囲との関係性を重視する日本人ならではのものと言えますが、部下のモチベ

ーションを考える上でも、この関係性を無視することはできません。

 

半世紀ほど前、リッカートというアメリカの社会心理学者が、上司の配慮行動と部下の職 

務満足度の関係を実験調査しました。

その結果、次のような上司のもとでは、部下の職務満足度が高いことが分かりました。

・こちら(部下)に関心をもち理解しようと思ってくれる

・こちらの話に耳を傾けてくれる

・こちらのアイデアを活かそうとしてくれる

・結果のフィードバックをしてくれる

・何かあったときには支持し弁護してくれる

・“コマ”としてより人間として扱ってくれる

 

日本の心理学者、三隅二不二(みすみ じゅうじ)が唱えたリーダーシップ理論「PM理論」 

も有名です。

Pとは、課題達成を中心とする(仕事のやり方や目標達成を重視する)リーダーシップの

ことです。

Mとは、集団維持を中心とする(人間関係への配慮や良好な雰囲気の維持など仕事の遂行

を支援する環境づくりを重視する)リーダーシップのことです。

 

PとMそれぞれに強弱の水準を設けて組み合わせると、次の4つの類型ができます。 

①pm型…PM両方とも弱いリーダーシップ

②pM型…Pが弱く、Mが強いリーダーシップ

③Pm型…Pが強く、Mが弱いリーダーシップ

④PM型…PとM両方とも強いリーダーシップ

 

この4つの中では、④が最もリーダーシップが発揮され、さまざまな面で生産性が高くなります。 

反対に①は、リーダーシップの効果や生産性が最も低くなります

 

さらに、リーダーの行動と部下の苦情率との関係をみた実験があります。 

・人間関係への配慮行動が少ないリーダーの下では、リーダーの仕事志向的な行動の多少

にかかわらず、職場での苦情率が高かった(PM理論でいうと①③)

・人間関係に配慮した行動を多くとるリーダーの下では、リーダーの仕事志向的な行動が

強まっても職場での苦情率は低かった(PM理論でいうと②④)

・人間関係への配慮行動が中程度のリーダーの下では、仕事志向的な行動が強まるにつれ

て職場での苦情率も上昇した

 

これらの結果から、リーダーが職場の人間関係に配慮しているかどうかによって、仕事を 

督励する行動に対する部下の受け止め方が違ってくることが分かります。

部下のモチベーションを上げて自律的に動いてもらうためには、仕事面だけでなく、普段

からの良好な人間関係が重要なのです。関係性を重視する日本人には特にそう言えます。

「部下に指示を出しても、なかなか思うように動いてくれない!」と嘆いている方、ひょっ

として人間関係への配慮が欠けているせいかもしれませんよ。

 

 

では今回のまとめです。 

・日本人は、相手や周囲との関係性を特に重視する。

・リーダーが職場の人間関係に配慮しているか否かで、部下の仕事に対する受け止めやモ

チベーションが違ってくる。(部下の自律性やモチベーションを上げるには、リーダー

が普段から人間関係に配慮する)


Vol.41 欲しい人材を見極める!~採用面接のコツ②

 

①「YES」としか答えようがない質問は意味がない

 

例えば営業職の採用面接で、応募者のストレス耐性を確かめようとよくこんな質問が出ま

す。

「当社の営業はお客様への飛び込み営業があります。更にノルマも月○○ありますが、大

丈夫ですか?」

 

これに対して、応募者のほとんどは「はい、大丈夫です」と答えます。

例え心の声は「NO!」であっても、面接の場でわざわざ「いいえ」と答えて、相手にマ

イナスのイメージを与えようとする人はまずいません。

ですので、このような「YES」としか答えようがない質問をしても意味がないのです。

 

ここでは、例えば「誰でも多かれ少なかれ仕事や生活でストレスを感じるものです。あな

たは、どんなことでストレスを感じやすいですか?」「どのようにストレスを対処してい

ますか?」などと応募者が答えやすい質問から入り、応募者の本音(この場合はストレス

耐性)を徐々に探ることが大切です。

 

 

②転職理由と志望動機から転職のストーリーを聞く

 

採用面接で、転職理由や志望動機を聞くことは定番ですよね。

これらを聞く主な理由は、「入社しても会社を辞めずに続けられるか」といった「退職の

リスク」をチェックするためです。

そのためには、転職理由と志望動機をセットで聞き出すことが大切です。具体的には「な

ぜ転職しようと思ったのか?」→「転職して実現したいことは何か?」→「そこでなぜ当

社を選んだのか?」という転職のストーリーを確認することです。

 

ここで応募者の言葉に矛盾や無理があれば、採用してもすぐに退職してしまうリスクがあ

と判断できます。逆に矛盾や無理がなく一貫性があれば、長く活躍してくれる可能性が

あると判断できます。

 

転職理由を聞き出すときですが、応募者は前職を何かしら不満があって退職したとしても、

それは言いづらいものです。不満を言うことで、相手に悪い印象を与えてしまうのではな

いかと考えるからです。

 

しかし、退職理由には何かしら会社への不満はつきものです。もし不満が何もなければ、

恐らく退職していないはずですから。

ですので、例えば「誰しも会社に対して多かれ少なかれ何かしら不満があることは、何ら

不思議ではありません。実は私にもあります(笑)言える範囲で結構ですので、遠慮なく

話してください。」などと、応募者が答えやすい質問をして本音を引き出すことが大切で

す。

  

なお「当社は第何志望ですか?」と質問することは、①で説明したとおり意味がありませ

ん。

応募者は「御社が第一志望です」と答えるに決まっているからです。(ただ最近は、「御

社は第○希望です」とはっきり言う学生もいるようですが…)

  

例えば「なぜ弊社を志望したのですか?」「当社は、他社と比べてどこが違いますか?」

などと応募者と自社との接点を探ることが大切です。

 

 

③会社の魅力や仕事の面白さを生き生きと伝える

 

採用面接は、面接官が応募者をチェックする場だけではありません。同時に、応募者が面

接官を通じてその会社をチェックする場でもあります。

ですから、面接官は礼儀正しく誠実に対応することは当然のこととして、いかに自社の魅

力や強み、仕事の面白さや大変さなどを生き生きと伝えられるか、というのが大きなポイ

ントになります。それにより応募者は共感し、「是非この会社で働いてみたい!」という

気持ちになるのです。

  

人事担当者だけでは難しいのであれば、実際に現場で働いている社員を面接に同席させ、

仕事について語ってもらうことも効果的です。或いは、経営者自ら創業ヒストリーや会社

・社員への思いなどを語ってもいいと思います。

 

私は採用で苦労している企業から相談を受けたときに、まず経営者や人事、総務の方など

に、自社の魅力や強みをできるだけたくさん紙に書き出してもらうことがあります。

そうすると、思った以上にたくさん出てくることがあります。では、それをうまく効果的

に応募者に伝えられているかというと話は別です。採用面接では、毎回決まった質問をし

て終わり、というパターンが多いようです。実にもったいないことです。

現在の求人倍率は、ゆうに1倍を超えています。会社が人を選ぶ時代ではなく、人が会社

を選ぶ時代なのです。人材採用は全社的課題と位置づけ、多くの社員を巻き込み、そして

もっと積極的にアピールしていく企業努力が求められます。

 

  

では今回のまとめです。

 

採用面接でのコツは、

・「YES」としか答えようがない質問をしても意味がない。応募者が答えやすい質問か

ら入り、徐々に本音を引き出す。

・転職理由と志望動機はセットで聞き、転職のストーリーを確認する。話に一貫性があれ

ば、退職リスクの可能性は低いと判断できる。

・会社の魅力や仕事の面白さを生き生きと伝える。そのためには、人事担当者だけでなく

現場社員や経営者なども巻き込む。